――「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」もホンダとの作品で、走行データを元にしている、という点が共通していますね。
菅野: はい。これもインターナビの広告プロジェクトなので「走行データがコアバリューになっている」という伝えたいメッセージは同じなのですが、これを全く別の表現の方法で展開したのが、このプロジェクトになります。
――そもそもですが、F1の走行データってどういうものなんですか?
菅野: これが実際に24年前にホンダのエンジニアによって記録されたセナの走行データです(図)。1980年代に、ホンダが世界ではじめてテレメトリーシステムというのを開発しF1のレースに導入したんですね。この技術はF1マシンの車体の状態やどこをどのように走行しているかといったデータを、リアルタイムに通信でエンジニアのところに届ける仕組みを作って、独自のシステム上でレース中にも分析出来るようにしたものです。
――ええと、F1中継を見ていると、ピットからドライバーに車の状況を指示していますよね。ああいうデータがリアルタイムに分かるようになったのが1980年代後半だということですか?
菅野: そうです。そこから現在まで、もっともっと進化していると思います。その前の時代のF1って、いったん車が出て走っていくと、チームのスタッフはピットでじっと待ってるしかなかったらしいです。だから走っているときにすぐその状態が知りたい、そういうエンジニアの欲求があってこのシステムが開発されて。画面上でリアルタイムに車体の状況が分かるようになった……というので、その後一気にいろんなチームで導入が進んだそうなんですね。
――なるほど……ではこの1989年のセナのデータというのは、テレメトリーシステムで取った走行データとしてはかなり初期ということになりますよね。走行データ、私なんかから見るとただのグラフにしか見えないんですが、あのデータを可視化しようというコンセプトがすごく独創的だなと思うんです。
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