企業の“Windows 8.1アレルギー”を解消する、「Project Siena」の可能性Excelが使えれば「自社用ストアアプリ作成できます」(2/2 ページ)

» 2014年05月02日 01時51分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

Windows 8.1の企業向け施策 アプリの企業内展開と、簡単アプリツールの配布を実施

 このほか2014年5月より「Windows Embeddedエディションの利用権」と「エンタープライズサイドローディング」について、企業向けライセンスモデルを変更する方針も示した。

photo 中〜大企業が導入するWindowsのボリュームライセンス契約企業向けの取り組みも強化する

 Windows Embeddedは、POSや発券機、デジタルサイネージ用端末などWindowsベースで稼働する業務用端末向けに提供する組み込み機器向けエディション。WindowsあるいはWindows Embeddedの企業内一括導入・管理のためのボリュームライセンス形態「ソフトウェアアシュアランス(Software Assurance:SA)」で契約する企業ユーザーは、PC向けのWindows Enterprise、あるいは業務機器むけのWindows Embedded Industry、どちらも選択できるようにする。OSとデバイス選択の幅をPC以外にも広げ、自社環境に応じてより自由にWindowsのボリュームライセンスを利用できる取り組みだ。

 サイドローディング(企業内展開)とは、正規のアプリケーションストア──WindowsではWindowsストア「以外」でもアプリを配布できるようにする仕組みのこと。具体的には、自社のみで使う業務ツールとしてのWindowsストアアプリを開発し、自社社員のみに配布することが可能になる。ボリュームライセンスモデルの変更により、一部のライセンスは追加コストなしで、それ以外のライセンスでも約100ドル(約1万円)でデバイス数の制限を設けないサイドローディングの権利を付与する。

 合わせて、自社業務に対応できるWindowsストアアプリを「Microsoft Excelの計算式やマクロを活用できる程度の知識があれば」作成できるという簡単さを大きくアピールする企業向けアプリ開発ツール「Project Siena(開発コード名)」を提供する方針も明らかにした。2014年4月現在、英語UIのベータ版(関連リンク参照)を配布中、日本語UI版も2014年夏に正式リリース予定とする。

企業のタブレット導入シーンが広がる「Project Siena」の可能性

 「Microsoft Excelの計算式やマクロを活用できる程度の知識があれば」作成できる──とうたうProject Siena(開発コード名)はどんなツールか。Windowsストアアプリの開発において、開発者向けの「Visual Studio」に対し、知識を要する開発者以外のユーザーも利用できる環境を提供し、Windowsアプリとデバイスの業務利用の幅がもっと、簡単に広がると訴求するのが狙いだ。

photo 業務でExcelやPowerPointを使いこなせている知識があれば、自社業務に特化したWindowsストアアプリを比較的容易に作成できるツール「Project Siena(開発コード名)」を提供する

 普段PowerPointのプレゼンテーション資料を作成するのと同様に適当なオブジェクトを配置し、同じくExcelで管理する表組みのデータを取り込み、Excelの計算式を少々応用する程度の作業でWindowsストアアプリとしてそれなりの形になる。インポートする基本素材は、Excelデータ以外にもWindows Asure Mobile ServiceやSharePointなどの社内の業務支援サービスや外部サーバなどを参照することも可能だ。サイドローディングを許可することで自社の業務に特化したタブレット向けツール、例えば現場スタッフ用製品管理アプリを配布したいニーズにもかなり容易に応えられるようになる。

 これまで思うように導入が進んでいないWindowsタブレットやWindows Phoneを、ひいてはデバイスを自然に連携させることを目的とする「Windows 8系のタッチ+スタート画面」の本来の狙いを企業層に強力にアピールできる可能性がある。

photo Excelのワークシートデータを参照し、Windowsストアアプリを作成できる。アプリの機能として実装する内容のフィルター機能などもExcelで使用する計算式を応用できる
photo PowerPointでデザインや動きも工夫したプレゼンデータを仕上げるのと同等の作業性で、アプリのUIも工夫できる。Windowsストアアプリを簡単に業務の機能として導入できるとなれば、企業層に対して業務タブレットの導入をより意識させ、なにより「Windows 8でなければ」と意識させるだけの強力な検討要素になりそうだ
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.