ゾッとするGW渋滞──え? カーシェアリングで「鉄道の旅」が変わる?杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)

» 2014年05月02日 08時00分 公開
[杉山淳一Business Media 誠]
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レンタサイクル感覚でクルマを使える

 全国ネットのカーシェアリングサービスはタイムズカープラス(タイムズ24)のほかに、「オリックスカーシェア」(オリックス自動車)、「カレコ・カーシェアリングクラブ」(カーシェアリング・ジャパン)などがある。オリックスカーシェアは月額基本料2000円で使用料200円/15分のコースと、月額基本料0円で使用料300円/15分のコースがある。後者の月額基本料0円コースは、自家用車を持っていて、旅先だけカーシェアリングサービスを利用したい人に向いている。カレコはコイン式駐車場「リパーク」を拠点に展開するサービスだ。月額基本料は980円で使用料130円/10分と安く、そして単位時間の細かさが魅力だ。

photo 「タイムズカープラス」:強みはステーションの数と全国展開の広さ
photo 「オリックスカーシェア」:月額基本料金0円のプランを用意するのが「旅人向き」
photo 「カレコ・カーシェアリングクラブ」:ステーションが首都圏限定のため旅に使う機会はまだなさそうだが、低料金で使いやすそう
主要カーシェアリングサービス(個人向け) タイムズカープラス オリックスカーシェア カレコ・カーシェアリングクラブ
初期費用 1550円(入会金0円、カード発行手数料1550円) 1000円(入会金0円、カード発行手数料1000円) 1500円(入会金1500円、カード発行手数料0円)
月額基本料金 個人プラン:1030円/月
(無料利用料金1030円分込み)
個人Aプラン:2000円/月
(無料利用料金2000円分込み)/個人Bプラン:0円
980円/月
(無料利用料金980円分込み)
時間利用料金(基本プラン) ショートプラン:206円/15分 個人Aプラン:200円/15分、個人Bプラン:300円/15分 ベーシックプラン:130円/10分、平日プラン:80円/10分
パック料金 6時間、12時間、24時間、アーリー/レイトナイトパックなど 6時間、12時間、24時間、夜間など 3時間、6時間、12時間、24時間、夜間など
距離料金 なし
(ショートプランの場合)
15円/1km 15円/1km
ステーション数 8159カ所
(2014年3月末時点)
1264カ所
(2014年3月末時点)
758カ所
(2014年4月28日時点)
車両台数 5009台
(2014年3月末時点)
2056台
(2014年3月末時点)
859台
(2014年4月28日時点)
(※価格は2014年4月現在、料金表記は8%税込時)

 旅先や出張先で使うという点では、いまのところ全国展開で拠点数の多いタイムズカープラスが有利だ。オリックス カーシェアは2014年4月現在、首都圏、中部、近畿、沖縄市に絞られ、カレコは同じく首都圏のみだ。どちらも「ふだん使い」のユーザーがターゲットだからだろう。それぞれ料金制度が魅力的なだけに、ぜひ地方でも展開してほしい。

 旅先でカーシェアリングを使う用途は多いと思う。鉄道駅から観光地やグルメスポットまで、距離が離れている場合があるからだ。レンタカーと違って無人で手続きできるから、早朝の駅に到着し、日の出の名所や市場まで往復する。あるいは交通が不便な温泉地まで足を伸ばすといった使い方ができる。紅葉や桜の名所など景勝地にも行ける。バス便はあるけれど本数が少なくてタイミングが合わないという場合も、カーシェアリングなら時間を有効に使えるし、タクシーより安い。

 かつて鉄道紀行作家の宮脇俊三は「景色というものは5分も眺めていれば飽きる」と著した。それは極論だとしても、景色を眺めるだけの30分は、イチゴ狩りと同じくらい必要十分だ。途中下車して、短時間でよい景色を見たい、珍しいものを食べたいという場合には、レンタカーよりカーシェアリングのほうが適している。

 鉄道旅行で観光地を訪ねる場合、駅からレンタサイクルを使ってちょっと足を伸ばす。カーシェアリングはそのレンタサイクルの延長と言える。カーシェアリングサービスの提供各社は、観光地最寄り駅のステーション設置に取り組んでみてはいかがだろうか。また鉄道会社も、駅構内などの遊休地にカーシェアリングサービスを誘致したらいいと思う。レンタサイクルとレンタカーの隙間にも、クルマの需要はきっとある。

【みなさん、聴こう!】5月5日(月)12時〜 杉山淳一氏ラジオ番組出演情報

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杉山淳一氏と三陸鉄道 望月雅彦社長が出演するラジオ番組『ニッポン放送報道特別番組 三陸鉄道全線復旧の舞台裏に隠された光と影 〜なぜ鉄道でなければならないのか?〜』が、5月5日12時〜13時に放送されます。鉄道ファン、杉山氏ファンは必聴です!

  • オンエア:2014年5月5日(月)12時〜13時
  • 放送局:ニッポン放送(AMラジオ 1242)
  • 出演:ジャーナリスト杉山淳一氏、三陸鉄道 望月雅彦社長、ニッポン放送 飯田浩司アナウンサー

PCやスマホからは「radiko.jp」でも聴取できますよ。「それでも「鉄道が必要」──三陸鉄道に見る「三陸縦貫鉄道復活」への道と将来」と一緒にお楽しみください。




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