先日、友人とイチゴ狩りに行った。「イチゴなんて近所の店で買えばいい」と思うけれど、栃木県で栽培される「とちひめ」はイチゴ狩り専用の品種で東京では買えない。「とちひめ」は水分が多く果肉が柔らかい。だから日持ちしないため、出荷に耐えられないそうだ。イチゴ好きの友人に話したところ、食べてみたいとなった。
目的地の観光農園は、東武鉄道宇都宮線の野州大塚駅から徒歩約15分。鉄道好きの私はもちろん列車の旅を提案した。最短時間は東京から東北新幹線で小山駅へ、両毛線で栃木駅へ、東武宇都宮線で野州大塚着。約2時間。しかしこれは却下。乗り換えが多すぎるという。それではもう1案、地下鉄で東武浅草へ、快速電車で栃木駅、東武宇都宮線で野州大塚着。約2時間半。費用は新幹線利用の半額。これも却下された。
ベビーカーに乗れない5歳児連れの友人にとって、駅の乗り換えは面倒だという。とくに地下鉄駅と地上駅は避けたい。もし子どもが眠ってしまったら、というよりも間違いなく寝てしまう。親は抱っこして移動しなくてはいけない。そもそも、最寄り駅から徒歩15分は子供にはきつい……。もし雨だったらどうする?
何を甘やかしているんだと思うけれど、実際にこんな理由で鉄道の旅を避ける家族連れは多いようだ。荷物の多い帰省だけではなく、日帰りのレジャーもクルマを利用し、高速道路の渋滞にハマる。それでも鉄道利用よりマシなのだろう。
そこで私たちもクルマで出発となった。ドアツードアで片道約3時間。幸いなことに行きも帰りも渋滞なし。車内では子どもの好きなアニメや特撮ドラマの歌をガンガン鳴らし、歌う。これは列車内ではできないことだ。私もクルマの運転は好きだし、楽しいドライブ旅行であった。最近は高速道路のサービスエリアも楽しい。しかし、これが大型連休の最中で渋滞に巻き込まれたとしたらゾッとする。
イチゴ狩りは「30分食べ放題」が相場のようだ。30分は短いと思ったけれど、実際にやってみると十分だ。30分間もイチゴを食べ続けるなんて、けっこうキツイ。10分でお腹いっぱいになった。それでも「とちひめ」は確かにうまい。甘く、口に含んだとたんに果汁がほとばしる。店先に並ぶイチゴとは確かに違う。30分間をビニールハウス内でたっぷり楽しんだ。
しかしその30分の喜びのために、往復6時間のドライブはどうかと思う。渋滞を考えたら、やっぱり鉄道のほうがいいのではないか。されど、子連れの乗り換えと徒歩15分は考えものである。
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