キューバ選手の「鎖国解禁」 メジャーと他国球界に与える影響とその裏側臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/4 ページ)

» 2014年05月01日 08時00分 公開
[ 臼北信行,Business Media 誠]

「キューバとアメリカの間にある障壁」、実はあまり関係ないという楽観論

 しかし、本当に思惑通りにことが運ぶだろうか。巨人入りしたセペダ選手の年俸1億5000万円は確かに高額だが、資金力の豊富なチームが数多く存在するメジャーリーグのほうが、個々の能力次第ではあるにせよ、それをはるかにしのぐ条件を得られる可能性が高い。

 しかもセペダ選手は34歳。間違いなく一流だが、2014年現在は円熟期に入っている選手である。今後キューバ政府が解禁にともなって、若い選手やバリバリの主力選手を海外チームへの長期的な完全移籍を容認するかは疑問だ。欧州の小国アンドラに亡命し、2010年1月に22歳の若さでメジャーリーグのシンシナティ・レッズと6年総額3025万ドル(日本円換算、約31億円)の超大型契約を結んだ左腕アロルディス・チャップマン選手のようなケースは、おそらく日本や韓国のプロ野球界では望めないだろう。

 従ってメジャーリーグ関係者の中には、ニューヨーク・ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMのように「キューバと米国の間には障壁があっても、亡命してメジャーリーグでのプレイを望むキューバの選手が減ることは特にないと思う。もちろん、このコメントはそれを奨励するものではないということを補足しておくが」とする楽観論もある。

 さて、キューバの選手が亡命する手段にはさまざまな方法がある。前出のチャップマン選手は代表チームの一員として出場したオランダでの国際大会のさなかに宿舎から逃げ出し、大使館へ駆け込んで亡命。ほかにも高速ボートやイカダに乗ってキューバを離れて米国のフロリダ半島を目指し、亡命に成功した元キューバ人メジャーリーガーも多数いる。

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