なぜニュースアプリを使うと「飽きる」のか――原因は“釣りタイトル”(たぶん)仕事をしたら“ニュースアプリ”ができた(後編)(1/5 ページ)

» 2014年04月30日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“ニュースアプリ”ができた:

 4月×日。青山一丁目(港区)にある、とある焼き鳥屋でO君がこんなことを言ってきた。

 「ドイさんって、ニュースアプリ使ってます? Webにはたくさんの記事があるけど、それをひとつのアプリで読むことができるアレね」

 ワタクシのスマートフォンにもいくつかのアレが入っている。例えば、SmartNews、Antenna、Gunosy、Pressoなど。片手でさまざまなジャンルのニュースを読むことができるので、便利は便利。手羽先、砂肝、なんこつを食べながらでも読むことができるので、便利は便利。ビールをグビグビ、日本酒をチビチビ飲みながらでも読むことができるので、便利は便利。

 しかし、なぜか「飽きてしまった」のだ。もちろんニュースに飽きたのではないし、アプリに飽きたのでもない。「飽きた」という表現が間違っているかもしれないので、周囲の人たちに聞いたところ、複数の人から「オレも飽きた」「ワタシもワタシも」という答えが返ってきたのだ。

 なぜニュースアプリを使うと飽きるのかな? と、つぶやいたところ、O君はニヤリとして、こんなことを言ってきた。「その疑問、ぶつけてみましょうよ。Gunosy(以下、グノシー)に知り合いがいますんで、紹介しますよ」と。

 よくよく考えてみたら、ニュースアプリには普段からお世話になっているし、どんな記事が読まれているのか――読者の行動履歴のようなものを教えてもらったら、今後の取材に役立つかもしれない。そんなこんなで、ニュースアプリ「グノシー」を運営している福島良典社長にうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

 →Gunosyユーザーはどんな人? 膨大なデータから行動履歴が見えてきた(前編)

 →本記事、後編


「飽きる」原因は“釣りタイトル”!?

土肥: 前回はグノシーのユーザーはどんな記事を読んでいるのか。大量のデータの中から行動履歴をひも解いていただきました。またユーザーに長く利用してもらうために、いろいろな工夫をされているという話もしていただきましたが、ひとつ疑問があるんですよ。それはニュースアプリを使っていると、なぜか「飽きてしまう」。

 この「飽きた」という表現は間違っているかもしれないので、周囲の人たちにも聞いたところ「実はオレもオレも」「ワタシもワタシも」という声があったんですよね。で、なんでこのように感じるのかなと考えたのですが、ひょっとして“釣りタイトル”の記事が多いことが原因ではないでしょうか。

 例えば「彼女に嫌われない5つの方法」といったタイトルの記事がある。男性だったら、ついつい読んでしまうと思うんですよ。どれどれと思ってクリックすると、中身が薄いことがある。こうしたことが1回や2回であればいいのですが、3回、4回と繰り返す。そうなると「もうこの手の記事は飽きた」という気持が、いつの間にか「このニュースアプリには飽きた」となるのかもしれない。

福島: ドイさんがご指摘された点は、大きな課題として受け止めています。いわゆる“釣りタイトル”の記事は「タイトルと内容が違うじゃないか」「あ〜、内容薄いなあ」などと感じますよね。こうした記事をどうすればいいのか。例えば、滞在時間の短い記事は落とす、というのもひとつの方法でしょう。タイトルと中身がマッチしていない記事は落とす、というのもひとつの方法でしょう。逆に言えば、いい記事についてはどんどん掲載していかなければいけません。

土肥: 少し話はそれてしまうのですが、「飽き」は人間にとって切っても切り離せないことだと思うんですよ。例えば、どんなにおいしいラーメンだと思っていても、毎日食べていたら必ず飽きる。どんなにおもしろいゲームだと思っていても、毎日やっていたら必ず飽きる。人は日常的に「飽きる」ことに慣れているので、新しい刺激を求めながら生きています。「おいしいモノを食べたい」「これまで行ったことがないところに行きたい」といった感覚って、新しい刺激を求めているからですよね。

 そのように考えると、今後のニュースアプリは2つの方向に絞られるのかもしれません。1つは、先ほど福島さんがお話されたように、タイトルと中身がマッチしていない記事をどんどん落としていって、ユーザーに「この記事は読んだことがない。面白い」という刺激を与えることができると、読者はどんどん増えていく。

 もう1つは、これまでのニュースアプリにはない、なにか新しいサービスが出てるかも。うまく伝えることができないのですが、これはスマホを使っているうちにできるサービスかもしれませんし、新しいデバイスが登場したときに生まれてくるサービスなのかもしれません。いずれにせよ、ユーザーの「飽き」を排除して、「なにこれ? 新鮮!」と感じさせられるアプリが生き残っていくのかもしれませんね。

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