コラム
» 2014年04月25日 06時00分 UPDATE

INSIGHT NOW!:ケンタッキーよ、オヤジを狙え!

アンゾフの成長マトリックスという言葉を知っていますか? 事業拡大の戦略を練るためのフレームワークです。これを使って、ファストフードの新サービス展開を分析すると、いろいろなことが分かってきます。

[渡部弘毅,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:渡部弘毅(わたなべ・ひろき)

経営コンサルティングのISラボ代表。日本ユニバック(現日本ユニシス)、日本アイ・ビー・エムなどを経て2012年5月、ISラボ設立。経営戦略、経営企画およびCRM領域にてコンサルティング活動中。ワクコンサルティングのパートナーコンサルタントとしても活動する。


 「アンゾフの成長マトリックス」という言葉を知っていますか? これは経営戦略における意志決定のフレームワークです。事業をどのように拡大させるか、また成長の方向性を意識した施策を立案するために使います。

 事業拡大の戦略を「製品戦略」と「市場戦略」の2軸に分けると、それぞれ既存の製品や顧客を狙うか、新しい製品や顧客を狙うかという2×2=4パターンの戦略が出てきます。それぞれの戦略は、以下の表の通りです。これをファストフード店の戦略に当てはめてみましょう。

●アンゾフの成長マトリックス
既存製品 新製品
既存顧客 市場浸透戦略 新製品開発戦略
新規顧客 新市場開拓戦略 多角化戦略

 最近、ファストフード企業がアルコール類の取り扱いに力を入れています。まずはケンタッキー・フライドチキン。2012年4月にビールやハイボールなどのアルコール類を販売する新型店「ROUTE25」を展開しましたが、これを今後3年で10店にするとしています。

 ハンバーガーチェーンのバーガーキングは現在、全81店舗でビールなどのアルコール類を販売していますが、2013年の夏に女性に人気のある「モヒート」などのカクテル6種類を試験的に販売しました。フレッシュネスバーガーも東京都内の7店舗で、世界の瓶ビール7種類とモヒートを提供するなど、アルコールメニューの品ぞろえを増やしています。

既存顧客ではなく、新規顧客を狙え

 こうした取り組みは、夜間の集客力を高めて客単価を引き上げる狙いで、仕事帰りの会社員といった新しい需要を掘り起こします。アンゾフの成長マトリックスでいうと、これは新製品の提供になりますが、市場(顧客)はどちらをメインに狙っているのでしょうか?

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 これはおそらく、既存顧客(図のA)でしょう。しかしこの路線だと、アルコールの提供もしているカフェのPRONTO(プロント)など、同じような形態の競合が多く存在し、劇的な成長路線を描くことが困難なように思えます。

 ここはひとつ、新規顧客(図のB)――特にオヤジ市場を狙ってはいかがでしょうか。昼のファストフードといえば立ち食いそば、夜はガード下の焼き鳥屋が行きつけで、ハンバーガーなんて、子供や若者のおやつだと思っているかもしれません。

 例えば、バイイング・パワー(強力な購買力)を背景に、独自のタレを使ったケンタッキー焼き鳥メニューをホッピーとセットで格安で提供する、なんてどうでしょう? 話題性もあり、情報番組などに取り上げられるかもしれません。これくらいの差別化とリスクを負わないと、競争が激しいファストフード業界で、大きな成長を実現するのは厳しいでしょう。(渡部弘毅)

 →渡部弘毅氏のバックナンバー

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