連載
» 2014年04月18日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:それでも「鉄道が必要」──三陸鉄道に見る「三陸縦貫鉄道復活」への道と将来 (1/5)

東日本大震災から3年を経て、三陸鉄道が全線復旧した。鉄道以外にいくつかの手段が模索される中、今回それぞれの交通システムを体験して分かった。それでも「鉄道が必要だ」と。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 2014年4月5日、三陸鉄道は南リアス線の吉浜─釜石間の運行を再開、翌日の4月6日には北リアス線の小本─田野畑間も運行を再開した。2011年3月11日の東日本大震災で被災した三陸鉄道は、国や自治体などの支援を受けながら少しずつ路線を復旧させ、このたび3年ぶりに全線復旧となった。しかし、この「全線」は第3セクターである三陸鉄道の範囲を示すもので、「三陸縦貫鉄道」全体の機能は回復していない。

 「三陸縦貫鉄道」は、主に岩手県と宮城県の沿岸部をつなぐ鉄道路線だ。1896年(明治29年)の大津波の被害を教訓に、鉄道による交通網を整備する構想で誕生。複雑な経過によって全通までに約90年を要した。現在、三陸縦貫鉄道を構成する路線は、南からJR石巻線、JR気仙沼線、JR大船渡線、三陸鉄道南リアス線、JR山田線(沿岸区間)、三陸鉄道北リアス線、JR八戸線である。仙石線を含めて仙台―八戸間を指す場合もある。

 これらの路線は東日本大震災で壊滅的な損害を被った。このうち三陸鉄道は、“鉄道”として全線復旧できた。しかしJR気仙沼線の一部区間、JR大船渡線沿岸部は「BRT(バス・ラピッド・トランジット)」(記事参照)による仮の復旧であり、現時点は鉄道の路線ではない。JR仙石線とJR石巻線の一部は代行バスが運行、JR山田線(沿岸区間)については代行バスも用意されていない状況で、従来併走している岩手県交通・岩手県北自動車のバス路線が振り替え輸送を実施している。「三陸縦貫鉄道」はまだ復旧していない。三陸を結ぶ、三陸と東京、仙台を結ぶという機能がないためだ。

 三陸鉄道の全線復旧から2日後、2014年4月8日から9日にかけて、私は仙台から八戸へ北上するかたちで三陸縦貫ルートを移動し、取材した。代行バス、BRT、路線バス、鉄道を乗り比べて、改めて「鉄道で復旧させるべき」との結論に至った。

photo 大船渡線BRTと三陸鉄道南リアス線が接続する盛駅
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ