就活時は“ギラギラ”した印象……で、実態は?上阪徹が探る、リクルートのリアル(1/4 ページ)

» 2014年04月18日 08時00分 公開
[上阪徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:

上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。

 著書に『書いて生きていく プロ文章論』『リブセンス<生きる意味> 』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター』『僕がグーグルで成長できた理由』など。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』など。


 リクルートという会社やリクルートが行っているビジネスについての印象は、もしかすると世代によってバラバラなのかもしれない。人材や進学の事業でお世話になった、という人もいれば、旅行や飲食などライフスタイル系のメディアが印象的、という人もいる。ただ、多くの人に共通しているのは、「いつも何か新しいことをやっている」ということではないだろうか。

 1960年、学生向けに企業の求人広告を掲載した就職情報ガイドブックを発行するところから始まったリクルートのビジネスは、やがて求人・アルバイト情報誌事業へとつながり、今の『リクナビ』などのWebメディアに結実していく。また、教育情報分野では『リクルート進学ブック』(現・『リクナビ進学ブック』)など高校生向けの進学情報から、広がりを見せていく。

 その一方で、住宅情報分野に進出して『住宅情報』を創刊、これが現在の『SUUMO』のルーツだ。さらに旅行情報誌『じゃらん』、結婚情報誌『ゼクシィ』、他にも『ケイコとマナブ』『R25』『eyeco』『赤すぐ』『Hot Pepper』『ポンパレ』など、数多くの事業が展開されてきた。

 だが、実はその事業構造は意外にも極めてシンプルである。進学、就職、結婚、学習、旅行、転職、出産・育児、レジャー、ファッション、マイホーム取得など、人生の「選択」と「意思決定」の場面で、価値ある情報を提供する、ということ。

 そしてその基本のビジネスモデルは、社内ではリボン図と呼ばれる。左側に多くのカスタマー(利用する人など)と、右側に多くのクライアント(サービスを提供する企業など)がいて、中央にあるリクルートが人と企業をマッチングする、というものだ。その人らしい人生を送るための選択の一助となり、その結果、クライアントや社会の発展につながることを目指している、としている。


『受験サプリ』の画面

 なぜリクルートは、そうしたビジネスを次々に生み出せたのか。会社案内で、リクルートホールディングス社長の峰岸真澄氏はこんなメッセージを寄せている。

 「生活者の方々の不満や不便、不安などといった『不』を解消し、新しい雇用機会の創出や消費拡大につながる行動のお手伝いをしてまいりました」

 リクルートが行ってきたのは、まだまだ世の中に足りていなかったもの=「不」の解消だったのだ。足りないものだからこそ、そこに確実にニーズがある。人々に、そして企業に求められる。そしてこのテーマの追求は、今なお続き、事業には磨きがかけられている。

 では、どのようにして、そうした新しい事業は生まれているのか。リクルートのリアルを探るインタビュー第3回のテーマは「新規事業」。2011年に始まり、大学受験を目指す若者たちなら今は知らない人はいないほどの存在になっているWebサービス『受験サプリ』編集長の松尾慎治氏だ。20代でリクルートの新規事業を担った人物である。

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