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» 2014年04月16日 07時30分 UPDATE

藤田正美の時事日想:混迷極まるウクライナ、「欧米VS. ロシア」の代理戦争は起こるのか (1/2)

クリミアから始まった独立活動は、ウクライナ東部の州を巻き込み始めた。民兵による行政庁舎の占拠は、一体何を意味するのか。そして今後、ウクライナ危機がどう展開するか藤田氏が解説する。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 大統領が追放される政変から始まったウクライナ危機。ロシアが黒海の重要地域であるクリミア半島を“制圧”、クリミア自治共和国がウクライナからの独立を宣言すると、ウクライナ東部でも同様に独立宣言を行う州が出てきた。状況は目まぐるしく変化しているが、ここにきて、事態は新たな局面を迎えている。

 ウクライナ東部で行政庁舎や警察本部をロシア系住民(民兵)が占拠し、一部では銃撃戦によって双方に死者が出たという。首都キエフの暫定政権は、占拠しているのは“テロリスト”だとして、軍の治安部隊が強制排除に乗り出すと明言した。しかし、暫定政府が設定した退去期限(4月14日午前)は無視されている。

 ウクライナ東部はロシア系住民が多いとはいえ、クリミアのように過半数ではない。そのため、住民投票や議会決議でロシアへの編入を求め、ロシアがそれに応じるというプロセスをとるのは難しい。それもあって、ロシア系住民は自治権の拡大などを求めて、行政庁舎を暴力的に制圧してアピールしている。暫定政権側も自治権拡大に応じるとしているものの、言われるがままの要求に応じれば、ウクライナそのものの存立基盤も危うくなるかもしれない。

photo クリミア自治共和国がウクライナからの独立を宣言したが、ウクライナ東部のハリコフ州、ドネツク州も独立を宣言した

 暫定政権を“支援”している欧米も、実際のところは手詰まりと言える。万が一、暫定政権の命令によってウクライナ軍とロシア系住民の間で本格的な戦闘になれば、内戦に発展する可能性がある。しかも暫定政権は親西欧とは言っても、EU(欧州連合)に加盟しているわけでも、まして軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)に参加しているわけでもない。たとえ暫定政権が軍事的支援を求めても、おいそれと応じるわけにはいかないのだ。

 しかも米国は、当初から軍事的選択を排除している。シリアの化学兵器問題でも腰砕けになったオバマ政権だけに、今さらウクライナをめぐってロシアと軍事的に対立するのは避けたいだろう。クリミアを併合したときも一応制裁措置を取ったとはいえ、ロシアにとっては“実害”のないレベルだった。

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