土肥: 西畠さんはたまたまボルネオ島にある山を登って、そこにある花を見て、その魅力に取りつかれた。以後、花を採り続けているわけですが、それが花ではなく、別のモノでもいまのように情熱を注いで仕事をされていますか?
清順: 無理でしょうね。もし花ではなく、工業製品だったらここまで情熱を注ぐことができなかったはず。うまく言えませんが、オレが言う「花が好き」と、一般の人が言う「花が好き」は、レベルが違う。目の前に枯れている花を見ると、多くの人は「かわいそう」と感じると思うのですが、オレは感じない。そもそも、オレはたくさんの花を倒し、殺してきましたからね。
最近「自分には、いったい何ができるんやろう?」と考えることが多くなりました。プラントハンターの仕事と出会って、これまでずっと走り続けてきたわけですが、まだその答えは見つかっていません。
ただ、オレは花のチカラを借りて生きている。毎日ご飯を食べられるのも、花のおかげ。自分に興味を持ってくれる人がいるのも、花のおかげ。以前は「珍しい花を発見できるのはオレのチカラだ」と勘違いしていたころもありましたが、今は違う。花は人の心を動かすチカラがある――と感じるようになって、「オレがスゴいんじゃない。花がスゴいんだ」と思うにようになりました。
この仕事をやっていなかったら、つまんない人生を送っていただろうなあ……。
(終わり)
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