異分野同士の「架け橋」になることが、イノベーションを生むカギ世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる(2/2 ページ)

» 2014年04月16日 08時00分 公開
[丸幸弘,Business Media 誠]
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SCBの存在意義

 ややこしいのですが、私たちは異分野をただ単純に出会わせたり結びつけたりする「コーディネーター」になりたいわけではありません。互いを隔てている知識の壁を「サイエンス」という言語を使って取り払い、新しい知識を生み出すことを目指しています。

 異分野間のコミュニケーションと言っても、超異分野学会のようなインパクトの大きいマクロな話だけではありません。もっとミクロな世界にも、SBCの存在意義はあります。

例えば、1つの企業の中で研究者と営業や総務が同じ知識を共有できていないというケースがとても多い。研究者が話すことを、営業が他社に正確に説明することができないのです。IT企業などでも、似たような事情があるでしょう。

 そこでリバネスのSBCが企業内の架け橋となって、まずその企業の強みや特徴を社員全員が理解するところから始め、コミュニケーションを促していくのです。そして、社外にも目を向け、出前実験教室で学校や子どもたちと企業をつないでいく。さらに企業と地域をつなげていけば、いずれ1つの企業が世界中のさまざまなところにアクセスしていくことができるかもしれない。

 リバネスはサイエンスを言語にしていますが、きっとその媒介は何でも良いのだと思います。自社の強みは何なのか、あなた自身の「Q」は何なのか、それを徹底的に突き詰めて目指すべき方向性を一度真剣に考えてみてください。それを媒介にしてあなたやあなたの会社の周りにいる異分野の人をつなげていけば、どんな企業でもきっと生き残る道は見えてくるはずです。

(終わり)

著者プロフィール:

丸幸弘(まる・ゆきひろ)

株式会社リバネス代表取締役CEO。1978年神奈川県横浜市生まれ。

東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。

リバネスを理工系大学院生のみで2002年に設立。日本初の民間企業による先端科学実験教室を開始する。中高生に最先端科学を伝える取組みとしての「出前実験授業」を中心に200以上のプロジェクトを同時進行させる。2011年、店産店消の植物工場で「グッドデザイン賞2011ビジネスソリューション部門」を受賞。

2012年12月に東証マザーズに上場した株式会社ユーグレナの技術顧問や、小学生が創業したケミストリー・クエスト株式会社、孤独を解消するロボットを作る株式会社オリィ研究所、日本初の遺伝子診断ビジネスを行なう株式会社ジーンクエストなど、15社以上のベンチャーの立ち上げに携わるイノベーター。


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