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» 2014年04月16日 08時00分 UPDATE

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる:異分野同士の「架け橋」になることが、イノベーションを生むカギ (1/2)

近年、グローバルな競争が激化する中、日本は「モノづくりの国」から「知識製造業」へシフトしなくてはなりません。知識製造業で重要なのは異分野同士のコミュニケーション。さまざまな分野の人たちがふれあい、それが広がることで新しい知識が無限に製造されていくのです。

[丸幸弘,Business Media 誠]

集中連載「たった1人の「熱」から生まれる」について

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本連載は、丸幸弘著、書籍『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

“PDCA”でイノベーションは起こせない。これからのビジネスは“QPMI”です。イノベーションを起こす魔法のしくみ「QPMIサイクル」とは、

 Q(question) たった1人の崇高な問題意識や疑問
 P(passion) それを解決したいという強い情熱
 M(mission/member)周囲を巻き込んでプロジェクト化する環境を作る
 I(innovation)結果として革新的なビジネスが生まれる

この4つです。

著者、丸幸弘は数々の革新的なビジネスをプロデュースし、自社内では「出前実験教室」など200以上のプロジェクトを同時進行させ、しかもそのすべてが黒字。そして、社員全員が理系の博士号or修士号を取得しているという異色の研究者集団企業「リバネス」の代表取締役CEO。

本書では、世界を驚かせるようなイノベーションを起こすためのしくみ“QPMI”を中心に、リバネス独自の取り組みと社内制度、そして具体的な事業内容を初公開。べンチャー起業家、新規事業立ち上げに携わる人、中小企業の経営者から未来を夢見る理系学生まで、広く読んでいただきたい1冊。


製造業から知識製造業へ

 日本は「モノづくりの国」だと言われます。製造業の国である、と。確かに、20世紀の日本はそうだったでしょう。しかし、グローバルな競争が激化し、製造業の拠点が中国や東南アジアに移っている21世紀においては、日本が目指すべきなのは「知識製造業」の国だと思っています。製造業から知識製造業へ、シフトしなければいけない。

 この知識製造業とは、いろいろな知識を集めてそれを組み合わせることで、新しい知識や価値を生み出そうというものです。リバネスで言えば、さまざまなサイエンスとテクノロジーに関する知識を部品化し、それを組み合わせて植物工場や宇宙大豆プロジェクトとして結実させています。自ら知識を集め、自ら新しいしくみを生み出していく。

 さまざまな知恵を組み合わせて、新しい知恵を生む「知識製造業」としての役割を果たせれば、日本企業はどんな小さな企業であっても、これからも生き残っていけるはずです。

 この知識製造業においてもっとも重要な要素は、異分野同士の「コミュニケーション」です。例えば植物工場ならバイオとテクノロジー分野の工学と飲食店、出前授業なら学校と企業。そのほかにも文系と理系、日本とアジア、アジアと世界――。さまざまな分野の人たちが互いにコミュニケーションをとり、それが同心円上に広がっていくことで、新しい知識が無限に製造されていくのです。

ks_robot01.jpg コミュニケーションロボット「OriHime」(出典:オリィ研究所)

 リバネスは、若手の理系研究者と東京の町工場の人たちが集まって新しい知恵を生み出す「超異分野学会」というプロジェクトを立ち上げました。今ではさらに広がりを見せて、「テックプランター」というものづくり系ベンチャー育成のプロジェクトになりつつあります。ここでは、新しい「コミュニケーションロボット」を開発する早稲田大学の学生ベンチャー企業「オリィ研究所」と、板金・プレス・機械加工を得意とする墨田区の町工場「浜野製作所」が意気投合し、ロボットの製造で提携する関係も生まれました。このように、異分野の人たちの間に入って、それぞれがもっている知識と知識を組み合わせる「ブリッジ」となることが僕たちの使命だと考えています。

 そこで、リバネスでは「サイエンスブリッジコミュニケーター(Science Bridge Communicator 以下、「SBC」)」という独自の資格制度を設けています。サイエンスを異分野の人に分かりやすく説明する力をすべての社員が身につけ、まったく異なる分野同士の「架け橋」になりたい。

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