本命は何? リクルートが“未来レストラン“で示した「スマホの次」ウエアラブルとビッグデータ(3/4 ページ)

» 2014年04月15日 17時52分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]

リクルートが考える「スマホの次」の技術

── 展示ではウエアラブルグラス(スマートグラス)、Bluetooth(iBeacon)、赤外線、AR(Augmented Reality:仮想現実)など、商品化間近と言われるものから既存のものを応用したものまで、今回はいくつかキーとする技術別に提案しましたね。この中で一番力を入れたい部分は、やはり「ウエアラブル」なのでしょうか。

photo Kinectとプロジェクターを配置した新しい「レストランの座席」の提案。Kinectが備えるモーションセンサーで「店員さーん、すみませーん」と手を上げるジェスチャーを認識し、内蔵カメラマイクとプロジェクターとスピーカーでスタッフヤードにいる店員と会話できるという仕組み
photo デモでは店員を女神様とみなし、ジェスチャーはあえて「4人みんなで天に祈らないと認識しない」よう調整した。「応用次第で、気の合う仲間と歓談する飲み会や、合コンなどでもっと楽しく、なかよく過ごしてもらえる工夫も設けられる」(説明員)のがミソだ

米谷氏 ウエアラブルもそうですが、現実的なのは実は「ジェスチャーによる入力」かもしれません。例えば今回展示したKinect(マイクロソフト開発のジェスチャー操作と音声認識で操作できるデバイス)のシステムは、あくまで今ある機器と機能、技術を応用したものです。席へモーションセンサーカメラがあり、お客さんが何かジェスチャーを行えば……とできるなら、これまでできなかった何かができるようになる可能性が広がると思いませんか。

photo もう1つ、多くの人が知っている「Wiiリモコン」の赤外線受光技術を応用した「ろうそくで操作できるテーブル」の展示。ろうそくの炎が発する赤外線を識別してカーソル操作デバイスとして応用する
photo ろうそくを操作し、電子メニューより注文できる。いわゆる「今までなかった操作方法」で操作できることを示す事例。こちらも“応用”であるが「客を楽しませる」ための新しい何かを提案するものであるのがポイント。決済、SNS/過去データ連携(過去注文履歴のチェックや友だちが注文したメニューをチェックするなど)などバックグラウンドデータとの連携ももちろん想定される

 もちろんウエアラブルデバイスも当然やっておかなければと強く認識しています。今回の展示「スマートグラス+ARメニューで遠隔注文」は、スマートグラスをかけたお客さんが、画面にAR(仮想現実)として浮かび上がるメニューに視点を合わせるだけで注文できるようにするというものです。

── 紙のメニューに対して「これをお願いします」と指差して注文する行為を擬似的に拡張するイメージですね。現時点、客としては「はい、これを」とレストランに入ってスマートグラスを渡されても最初は戸惑いそうですが、障がいを持つ方、海外の方向けなど、応用の仕方で顧客サービスの向上につながる何かはできそうです。

photo スマートグラスとAR技術を用いた「スマートグラス+ARメニューで遠隔注文」の展示。ARマーカー(デバイスが識別するための決められた図柄)のある板をスマートグラスを通して見ると、擬似的な電子メニューが浮かび上がる。注文したいメニューに視点を数秒合わせるとオーダーが飛ぶ仕組み。現時点、それなら前述したタブレットでのタッチUIで操作すればいいのに──と感じるかもしれないが、個別の画面や操作インタフェースなしに注文をしてもらう手段の可能性の1つとして提案する意図がある
photo スマートグラスで見るものを擬似的にタブレットで表示した参考例。ARマーカー上に電子メニューが表れ、注文は、食べたいメニューのいずれかを数秒見つめる(スマートグラスには、中央に“いわゆるマウスカーソル”の代わりとなる赤いドットサイトが表示される)だけでよい

米谷氏 今回の展示には残念ながら間に合わなかったのですが、スマートグラスの機能で来店者を認識し、過去履歴などを参照するような連携事例も考えられます。裏にはビッグデータのマイニングから、身近なものではSNS連携といったシステムが動いていることももちろん想定できますよね。店舗として顧客サービスをより向上させられる手段です。客としても「常連(のように大切にされる)対応」をしてくれば、よりうれしいですよね。

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