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» 2014年04月09日 08時00分 UPDATE

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる:社員の問題意識やアイデアを否定しない (1/2)

よく「アイデアはしばらく寝かせておくといい」と言われますが、僕はヒモのついた風船のように「浮かせて」おくのがいいと思っています。必要なとき、いつでもそのヒモを引いて、そのアイデアを活用することができるからです。

[丸幸弘,Business Media 誠]

集中連載「たった1人の「熱」から生まれる」について

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本連載は、丸幸弘著、書籍『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

“PDCA”でイノベーションは起こせない。これからのビジネスは“QPMI”です。イノベーションを起こす魔法のしくみ「QPMIサイクル」とは、

 Q(question) たった1人の崇高な問題意識や疑問
 P(passion) それを解決したいという強い情熱
 M(mission/member)周囲を巻き込んでプロジェクト化する環境を作る
 I(innovation)結果として革新的なビジネスが生まれる

この4つです。

著者、丸幸弘は数々の革新的なビジネスをプロデュースし、自社内では「出前実験教室」など200以上のプロジェクトを同時進行させ、しかもそのすべてが黒字。そして、社員全員が理系の博士号or修士号を取得しているという異色の研究者集団企業「リバネス」の代表取締役CEO。

本書では、世界を驚かせるようなイノベーションを起こすためのしくみ“QPMI”を中心に、リバネス独自の取り組みと社内制度、そして具体的な事業内容を初公開。べンチャー起業家、新規事業立ち上げに携わる人、中小企業の経営者から未来を夢見る理系学生まで、広く読んでいただきたい1冊。


 「思いついたアイデアはしばらく寝かせておくといい」とよく言われます。でも僕は、アイデアや問題意識は「寝かせておく」のではなくて、「浮かせておく」のがいいと思っています。これは、自分の頭上に、ヒモのついた「アイデアの風船」をいくつも浮かべておくイメージです。自分が思いついたものだけでなく、社員から提案されたアイデアも含めて、僕の頭の上にはいつも大量の「アイデアの風船」が浮かんでいて、いつでもたぐりよせて活用することができる状態にしています。

 誰かとブレインストーミングしているとき、ある課題が提示されました。そのとき、自分の頭上にある、簡単には解決できない小さなQ(クエスチョン)のなかで使えそうなものがないかと考えて、ちょうどいい風船をたぐり寄せる。さらに、別の使えそうな風船を探して、複数のアイデアをミックスさせる。こうすることで、頭の上に浮かせてあったアイデアや発想がつながって、新しい「何か」が生まれます。

 革新的なアイデアは突然ひらめくものではなく、他人のアイデアも含めた「風船」の組み合わせで、化学反応的に生まれるものだと僕は考えています。

 例えば、リバネスが開発したバイオ研究の実験機器に「MEGA COMB(メガコーム)」というものがあります。これは分子生物学の実験時間を大幅に短縮する機器で、リバネスが企画し、実際の製造は墨田区の町工場に担当してもらいました。

 この機器が製品化されたのは、社員である長谷川和宏の頭の中にバラバラに浮かんでいた「バイオ研究の実験機器が不十分」「研究者の研究を加速させたい」「町工場を活性化させたい」という風船が、「バイオ研究の新しい実験機器を、墨田区の町工場に作ってもらって、研究者の研究を加速させよう」と統合された結果です。それぞれの情報は、他の社員から長谷川の頭にインプットされたものもありましたが、それを否定せずに頭の片隅に置いていたことで、ミックスすることができたのです。

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