無償提供の「Office for iPad」、なぜ日本で使えなかったのか転換期にあるMicrosoftのビジネスモデルを知る(1/4 ページ)

» 2014年04月04日 13時21分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),Business Media 誠]

 米Microsoftは3月27日(米国時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催したイベントで「Office for iPad」を発表した(参照記事)

 2014年4月現在、日本での提供は行われない(参照記事)ものの、2014年中に何らかのかたちで提供される可能性が高いとみられる(参照記事)。改めて「Office for iPad」とは何か、同社がこのタイミングでリリースした理由は何か。オフィスパーソン視点でこの意図と背景を探ろう。

photo App Storeで公開された「Office for iPad」(画像はWord for iPad)

「Office for iPad」とは何か?

 「Office for iPad」とは、iOS搭載タブレット「iPad」で使えるMicrosoft Officeアプリで、(現時点、日本を除く)App Storeから無償ダウンロードできる。Word for iPad、Excel for iPad、PowerPoint for iPadの3つが2014年3月27日(現地時間)のタイミングでリリースされ、これら3つを総称して「Office for iPad」と呼ばれている。

 アプリはいずれも無償でダウンロードできる。ただ、この状態で利用できるのはMicrosoft Office文書の表示と簡単な操作のみで、新規作成や高度な編集、文書保存など、“作成・編集”に関わる操作を行うには「Office 365の契約が必要」となる。

 Office 365は、Microsoft Officeのアプリケーション群と、グループ連携作業機能、クラウドサービス群などが利用できる、Microsoftが提供する“サブスクリプション型”と呼ばれるサービスである。PCバンドルやパッケージ購入などの“売り切り型”と呼ばれる方法に対し、月単位ないし年単位で契約する方法であるのがこれまでと異なる。例えば米国では、コンシューマー向けにも「Office 365 Home」(9.99ドル/月、あるいは99.99ドル/年)や「Office 365 Personal」(6.99ドル/月、あるいは69.99ドル/年)が存在する。

photo Excel for iPad

 ただ、日本ではこのOffice 365 Home/Personalは提供されていない(2014年4月現在)。加えて、Office for iPadも日本のApp Storeからはダウンロードできない。Office 365を個人単位で契約する日本ユーザーがほとんどいないということで、Office for iPadは、“日本では、ひとまず対象外とした”と考えるとよいだろう。

 もちろん、Office 365の契約がなくても表示機能は無料で使える。日本語表示もしっかりサポートするので、それだけでも使いたいというビジネスパーソンは多いはず。例えばPCで作成した文書を「タブレットでプレゼンテーションする」といった使い方などはとても有効だ。ちなみに、すでに提供されている「OneNote for iPad」も、デザインを新たにアップデートされた。OneNote for iPadは日本のApp Storeでも提供されており、今回の制限は特に受けないものとなっている。

 なぜ、MicrosoftがこのタイミングでOffice for iPadをリリースし、提供形態をこのようなかたちにしたのか。

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