次は、LINE利用者を居住地別に見ていきましょう。全国の人口分布率におおむね近い数字です。都市部、地方の偏りがなく、全国規模の国民的ソーシャルメディアとして利用されていることが分かります。
取材した地方都市のお店の関係者の中には、「地方ではFacebookやTwitterの利用者が少ないので、マーケティングのツールとしては役に立たない」という人もいました。FacebookやTwitterは、LINEと比較すると都市型のソーシャルメディアとしての傾向があると思います。そうなると、地方のお店がソーシャルメディアを利用したマーケティングを実施したければ、スマートフォン全盛の今の時代は、LINE以外には考えられないという話になるのでしょう。
つづいて、年齢別の利用頻度について分析します。予想通りの数字が並んでいます。前述のように、単純な年齢分布では各年齢においてほぼ均等に分布していましたが、利用頻度という視点でみると、やはり若い人ほどアクティブに活用している様が見て取れます。また、全体的な傾向として女性のほうがおしなべてアクティブに利用しているようです。
このグラフを裏付けるかのように、東海地方のラーメン店「あっ晴れ」の担当者は、大学が近くにあり学生がたくさん利用するお店では、「『友だち』の獲得も順調で、メッセージ配信後の来店率も高い」と教えてくれました。
また、LINE@を利用中のお店や企業のアカウントが一覧できる「LINE@ナビ」というサイトで各アカウントやその友だち数を俯瞰(ふかん)すると、女性向けのファッションブランドやアクセサリーを取り扱うお店のアカウントのほうが、他と比較して「友だち」数が多い印象です。女性のほうが、ファンションなどへの購買意欲が高くLINEをアクティブに利用しているので「お店とLINEでつながっていたい」という意識が高いことの現れでしょう。
ちなみに、このグラフの中で1つ気になる部分があります。女性は、年齢が上になっても利用頻度が男性と比較して大きく落ち込まないという点です。以下は、筆者の推測ですが、LINEは家族間のコミュニケーションにも多く利用されています。最近では、高齢者のスマートフォン利用率も上昇しているので、おそらく20〜30代の子供、あるいは10代の孫とのメッセージのやりとりに利用する人が多いのかもしれません。
山崎潤一郎(やまざき・じゅんいちろう)
1957年生まれ。主にIT系やビジネス系のメディアを中心に取材・執筆活動を行うジャーナリスト。
「ITmedia」「@IT」「日経コミュニケーション」などで執筆。並行して音楽制作会社や音楽レーベルを運営。また、iPhoneアプリの開発者でもある。アプリは、累計10万ダウンロードを達成。
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