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» 2014年04月03日 08時00分 UPDATE

臼北信行のスポーツ裏ネタ通信:年俸6億5000万円は、本当に「高い」のか? ベテラン「イチロー」の価値 (1/4)

天才バッターが岐路に立たされている。新戦力下のヤンキースでは「開幕スタメン落ち」で「外野手の5番手」という扱い。ただ、一方では「他のどんな選手にも勝る」と高い評価を受けている。この“ベテランの価値”をビジネスの現場になぞらえながら再認識しよう。

[ 臼北信行,Business Media 誠]

著者プロフィール:臼北信行

日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。


 天才バッターが岐路に立たされている。ニューヨーク・ヤンキースでメジャーリーグ14年目の開幕を迎えたイチロー。ピンストライプのユニホームを身にまとった背番号31は2014年4月1日(現地時間)、ヒューストン・アストロズとの開幕戦でスターティングメンバー(スタメン)から外れ、ベンチスタートとなり、試合の出番もなかった。メジャーでの開幕スタメン落ちは、胃潰瘍(かいよう)で故障者リスト入りした2009年をのぞけば初の屈辱である。

 とはいえこれは大方の予想通りで、驚くほどではない。開幕前の時点でヤンキースのジョー・ジラルディ監督はイチローが外野手の控え要員であることを示唆し、2013年までイチローの定位置だった右翼(ライト)にはシーズンオフに獲得したカルロス・ベルトラン、そして中堅(センター)には同じく新戦力のジャコビー・エルズベリー、左翼(レフト)はブレッド・ガードナーをレギュラーとする構想を早々と明かしていた。主要な米メディアでもイチローは同じ外野手控えのアルフォンゾ・ソリアーノよりも“格下”と見られており、その扱いは「外野手の5番手」。そうなれば、自然と身辺が騒がしくなるのも当然だろう。

photo ニューヨーク・ヤンキース公式サイト

ヤンキースが「イチローの存在価値を見直し」した経緯

 開幕直前の2014年3月9日、米スポーツ専門局『ESPN』看板記者 バスター・オニール氏が「イチローにはトレード拒否条項がない。ヤンキースで彼は余剰人員のようだ。フィリーズが外野手を欲している」とツイート。さらにその2日後、ヤンキース地元の『ニューヨーク・ポスト』紙が、イチローのデトロイト・タイガースへのトレード移籍の可能性を報じたことから、開幕を待たずしてその去就が取り沙汰されるようになった。

 実際、ヤンキースが開幕前までイチローの放出を模索していたのは事実だ。ところが現在は、その流れにブレーキがかかっているという。チーム編成の責任者であるブライアン・キャッシュマンGM(ゼネラルマネージャ)がイチローの存在価値を再び見直し始め、当初積極的だったはずの他球団へのトレード話を躊躇(ちゅうちょ)しているというのだ。

 ちなみに今季のイチローは2年契約の最終年で、年俸は650万ドル(約6億5000万円)。「控え要員にこれだけの額を費やすのはおかしい」との意見も内外から聞こえてきてはいる。ただ、こうした声に、キャッシュマンGMが米スポーツ専門局『ESPN』のインタビューでこう反論した。

 「イチローに価値があるかないかは、シーズンが終わってから判断してくれ。現時点で1つ言えることは、私はそれだけの価値があると期待したからイチローに“投資”したのだ。そして彼は、ここまで報酬に見合った働きをしてくれている」

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