2014年のバーガーキングは“原点回帰”で攻める――。
バーガーキング・ジャパンは4月1日、新メニュー「BIG KING(ビッグキング)」を発売した。バーガーキングといえば、定番メニューとしておなじみなのが、炭火焼パティを挟んだ大型ハンバーガー「WHOPPER(ワッパー)」。新メニューのBIG KINGは、3枚のバンズの間に、WHOPPERと同じ炭火焼きパティを2枚挟んだ、WHOPPER以上にボリュームのあるハンバーガーだ。
BIG KINGは期間限定商品で、サイズが2種類ある。バンズとパティが4インチ(通常のハンバーガーと同じサイズ)の「BIG KING 4.0」は4月24日まで販売され390円(税込み、以下同じ)。5インチ(WHOPPERと同じ)の「BIG KING 5.0」は、4月1日から7日まで1週間のみの販売で690円となっている。
2013年11月に米国で発売以来、英国やドイツ、トルコなど世界各国で販売されてきたBIG KING(海外では4インチのみ)が日本に上陸したのにはワケがある。実はこのBIG KING、バーガーキングが今後進んでいく方向性を示したメニューでもあるのだ。
バーガーキングはこれまで、パティを7枚重ねた「Windows 7 WHOPPER」やバンズに竹炭を使った「黒バーガー」など、話題性を狙った製品が多かったが、2014年はハンバーガー自体の美味しさや、質の高さを押し出す“原点回帰”をテーマに展開していくという。
バーガーキング・ジャパン代表取締役社長の村尾泰幸氏は「バーガーキングの強みは、直火焼ならではのビーフパティの味わいやボリューム。この強みを訴求できるような商品を積極的に展開していく。われわれフードサービス業界が売るものはサービスではなく、あくまで売るのはフードだということを忘れてはいけない」と話す。
村尾氏は2014年2月に代表取締役社長に就任したばかり。以前は日本マクドナルドに30年あまり勤めていた経験もある。「マクドナルドにいたころは、バーガーキングを競合だと思ってはいなかったが、それでもハンバーガーは美味しいと感じていた。バーガーキングは世界では2位の外食チェーン。美味しいハンバーガーも提供できている。今は日本で5番手ぐらいだと思っているが、2位くらいになれるだけのポテンシャルはあるはずだ、と考えている」(村尾氏)。
原点回帰という言葉には、戦略を転換する意味もある。「今までは奇をてらった製品の投入や価格設定など、大手の競合他社と同じような戦略を採ってきたところがあった。しかし今はまだ、相手と同じ土俵で戦えるはずがない。マクドナルドなんて40年近くやって3000近くの店舗がある。対してこちらは7年あまり。まだ店舗数も80くらいなんですから」(村尾氏)
バーガーキングが狙うのは、競合他社との明確な差別化だ。「少しぜいたくな大人のファストフード」を目指し、直火焼をはじめとする質の高さをアピールするとともに、日本人に合うようにブランド全体をチューンしていくという。ブランドというのはメニューのラインアップや味だけではない。サービスの質や製品提供のスピード、店舗の内装なども含まれる。経営やブランド戦略を始め「変えていきたいことは山ほどある」と村尾氏は話す。
こうした差別化戦略を進め、大都市圏を中心に店舗数を増やすことが長期的な目標だ。2014年4月1日現在では81店舗だが、2016年までには全国で200店舗、2018年ごろまでに首都圏で200店舗を目指すという。村尾氏は「本来ならばマスに対して宣伝をしたいところが、今の状況では、例えばCMを見ても身近に店がないというようなことになりかねない。首都圏で最低でも200店舗――これでようやく“勝負”に出られる。今はブランドの認知度や会社自体の体力を伸ばすのが先決だ」と意気込みを見せた。
2007年に日本に“再上陸”してから、もうすぐ8年目を迎えるバーガーキング。非上場企業のため業績は公開してないが「堅調に伸びているし、シェアも増えているのではないか」(村尾氏)という。ハンバーガービジネス全体がマイナス成長となるなか、社長が変わり、戦略も大きく変えてきた。今後、ハンバーガーチェーンとしてさらなる存在感を出せるか、転機を迎えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング