葛西選手の銀メダルから考えた「広がる主役年齢」博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(2/4 ページ)

» 2014年03月27日 00時00分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]

メダリストの低年齢化と高齢化の同時進行は夏季オリンピックでも同じ

 では、夏季オリンピックではどうなのか。これもここ最近の5回分を見てみました。冬季ほどではないですが、やはり同様に最年長は上がり、少しですが最年少は下がり、年齢幅は拡大しています。直近のロンドンオリンピックでは20歳差です。

 最大の金メダル数を誇った1964年の東京オリンピックの場合は、その差は13歳(最年長が体操の小野選手の33歳、最年少が女子バレーボールの磯部選手、篠崎選手19歳)と今より年齢差が小さいのです。ところが平均年齢は最近とほぼ変わらず24歳です。

 冬季同様、夏季オリンピックでもメダリストの低年齢化と高齢化の同時進行は進んでいる。つまり、さまざまなスポーツの種目で、メダルを取る可能性の年齢幅は広がっているということです。

紅白出場歌手の年齢幅も拡大中

 メダリストをスポーツ界の主役だとすると、他の世界の主役の年齢変化はどうなっているのか。まずは音楽界、それを年末恒例の紅白歌合戦の出場歌手の年齢から分析してみました。

 1970年からの紅組白組それぞれの最年長出場歌手、最年少出場歌手の年齢、それから、初出場の歌手の平均年齢(グループの場合は原則として最年少メンバーの年齢を採用)を合わせて追ってみました。まず紅組。赤い線と青い線の幅は徐々にですが、拡大しています。そして、グリーンの線(初出場平均年齢)も時々はみ出ることもありますが、ほぼ20歳前後から30歳前後の中で推移しています。

 では、白組はどうか。紅組に比べると、最年長が着実に上がっています。これは1970年から80年代中盤までは三波春夫さんが、1990年以降は北島三郎さんが、最年長歌手として出演することが多かったからです。お二人の年齢とともに、最年長が変化していったのです。また最年少はここ数年こそ動きがあるものの、それまでは常に10代後半でほぼ一定。紅組に比べるとそれほど低年齢化していないことが分かります。

 年齢幅の拡大は紅組も白組も似ているのですが、紅組が最年長を上げ、最年少を下げて拡大したのに対して、白組は最年長の上昇が年齢幅を上げる傾向が若干あるという違いがありそうです。白組の初出場の平均年齢も紅組のそれに比べると20代から30代へと徐々に上昇していることも、この傾向に拍車をかけていると思われます。いずれにせよ、歌の世界でも、出場歌手の年齢幅は拡大していることが分かりました(一部、不明年度あり)。

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