まず「仕事の意識的拡張」について。私はおおまかに次のような段階でとらえます。
(1)与えられた仕事を無事にこなす
(2)与えられた仕事の中に改善点を見つけ、生産性を上げる
(3)仕事をつくり出す
(4)事業をつくり出す
(5)雇用をつくり出す
みなさんは、ともかく最初の部署で懸命に仕事のイロハを覚えることに注力します。(1)段階であっぷあっぷの状態が半年や1年は続くでしょう。そこから次第に自分なりに担当業務への改善点が見えてきて、生産性を向上させようとする意識が働いてきます。それは自分の仕事に対し、目配り・手配りできる範囲が広がったのです。これが(2)の段階です。
そしてさらに仕事との関わり方が進んでくると、自分がやるべき仕事をつくり出すようになります。所属する部署の課題、担当業務の課題が見えてきて、上司から言われずとも、新たにこういう動きをしよう、こういうアイデアを試みよう、既存にない方法を提案しよう、チームの中での自分の役割を拡げよう、何か目的をもったプロジェクトを立ち上げよう、といった働き方になります。これが(3)の段階です。この段階では、みずからの意志やアイデアを周囲に説明し、賛同者・協力者を得ながら仕事を動かしていくことが求められます。そこからさらに意識が広がると、事業を打ち立てるという格段に大きな単位の挑戦に心が動いたり、「雇用をつくり出す」レベルにまでたどり着くこともあります。
自分が関わる仕事への意識をどこまで広げていくか。これは各人が自由に設定できるものです。誰に言われるものでもありません、自分が決めるのです。私が企業現場で長年観察するところ、(2)段階止まりの人は多くいます。その中から(3)段階にいく人が何割か出てきます。そして一握りの人が(4)(5)へと上がっていきます。私はみなさんに、20代のうちに自分の仕事を能動的につくり出す(3)段階まで意識を拡張していけ、と申し上げたい。
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