最近よく耳にする「お台場と沖縄にカジノができる」報道の読み方窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2014年03月25日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

「お台場カジノ」と「沖縄カジノ」

 一方、「リゾート型」で沖縄の名が挙がるのはさまざまな理由がある。

  まずよく言われるのは、実現へ向けたハードルの低さだ。2007年に仲井真知事が、国会でカジノ法案を通すよりも、「沖縄振興特別措置法」を改正してカジノ導入を盛り込んでしまったほうがてっとり早いじゃん、みたいな発言をして物議を醸したが、今でも同様の考え持つ地元政治家は多い。

 この背景には、観光ビジネスの低迷がある。リゾートアイランドといいながらも、やってくるのは日本人ばかりで1人当たりの観光消費も少ない。全国でもずば抜けて高い失業率に悩む沖縄の観光業者からすれば、外国人を呼び込めるIRは“起死回生”のチャンスなのだ。そこに加えて最近では、「普天間基地移設問題」も関係してくる。

 県内であれ県外であれ、基地を動かせば地域経済は確実にダメージを受ける。それを軽減するにはIRをつくるしかないでしょ、なんて意見が県内、特にキャンプキンザー移設跡地(浦添市)で盛んに持ちあがっているのだ。

 このような調子で、まことしやかに囁かれる「お台場カジノ」と「沖縄カジノ」だが、個人的には巷で言われているほど本命ではないと思っている。

 まず、「お台場」に関しては、HISの澤田会長らが主張するように、首都・東京にいきなりカジノリゾートという日本人が運営したことのないリスキーな施設をドカンとつくってしまっていいものかという問題がでかい。

 「東京五輪開催に合わせてカジノでおもてなし」なんて気の早い人たちはソロバンを弾くが、これからの集団的自衛権の議論次第では、東京五輪だってテロのターゲットになる可能性は大いにある。そんな状況下で、マフィアやらマネロンやらの恐れがあるカジノをつくったら収拾がつかない、なんて反対意見は当然出るだろう。

 沖縄も然りだ。かの地では、1990年代後半からカジノ誘致を進めてきたという実績がある半面、「カジノ反対運動」の蓄積があり、筋金入りの闘士も多い。その代表が、糸数慶子参議院議員だ。「カジノ誘致に反対する女性の会」なんてのをつくったりして、もうかれこれ10年以上、反対キャンペーンを続けていらっしゃる。

 基地問題でも分かるように、沖縄における「反対運動」は日本全国から左巻きの人たちが住民票ごと集結してくることで知られている。「基地を押し付けた後は、ギャンブルを押し付けるのか」なんてワーワーとシュプレヒコールがわきあがることは十分に予想できる。というよりも、その兆候はすでにマスコミにはあらわれてきている。

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