なぜ巨額な利益を生み出すのか、米国発「総合格闘技」のビジネスモデルを知る臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2014年03月20日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

UFCが世界的に人気となった理由、そして巨額な収益

 UFCの運営会社は「ズッファ(Zuffa, LLC)」。米国・ネバダ州ラスベガスのスポーツプロモート企業である。1993年11月に第1回大会が行われたUFCだが、当初はまともなルールが制定されておらずバイオレンス性が極めて高かった。米国内の多くの州から開催を拒否される憂き目にあっていたところ、この大会運営権をズッファが2001年に買収。ズッファのオーナーはラスベガスでステーションカジノを経営していたことから各方面に顔が利き、そのコネクションを使ってNSACとNJSACBの両管轄組織と協議の末、UFC開催の認可を獲得した。

 以降、UFCは「街のケンカ」から「スポーツ格闘技」へとイメージチェンジを遂げるのに成功した。それまで敬遠されていたテレビ放映も行われるようになった。

 このテレビパワーは、ズッファをさらに飛躍させた。特に大きかったのは米CATV局で放映されるPPV(ペイパービュー:有料コンテンツの課金視聴システム)の収益だ。米国業界専門紙『レスリング・オブザーバー』によれば、UFCは2013年のPPVとして計13もの大会が放映され、米国での販売総数は547万件に達したという。1大会平均で42万7000もの販売数は、テレビ局側からも超優良コンテンツと評されるレベル。このUFCのPPVによって、ズッファは2013年だけで1億3675万ドル(日本円換算約139億747万円 2014年3月17日時点、以下同)もの巨額な収益を計上している。

 これは他のコンテンツと比較するとそのすごさも分かりやすい。例えば2013年のプロボクシング米国内PPV販売総数は約392万件。2006年4月よりPPVを始めたUFCは、その初年度から8年連続でプロボクシングより多くPPVを販売しているのである。

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