「じぇじぇじぇ」の次は、ばばばっ旨めぇ?――高校生が考えた気仙沼「なまり節ラー油」新連載・東北発! 震災から生まれた21世紀の逸品(1/4 ページ)

» 2014年03月13日 08時00分 公開
[加藤小也香,Business Media 誠]

「東北発! 震災から生まれた21世紀の逸品」とは

 東日本大震災から3年が経った。Googleが主催する復興支援プロジェクト「イノベーション東北」(参照リンク)のメンバーは、被災地各地を歩き回り、500を越える事業者に出会ってきた。

 彼らが手がける商品の中には、避難所から積極的な継承が始まった伝統的な手仕事や卓越した技術に裏打ちされた工業品、あるいは東北の自然に育まれた、東京では決して手に入らないような美味なる食べ物がある。本連載では、震災後に生まれた、こうした「知られざる逸品」を紹介するとともに、これらひとつひとつの商品が震災後どのように生まれ、あるいは創り直されてきたかを紹介していく。ナビゲーターは、イノベーション東北事務局・加藤小也香。

加藤小也香(グロービス出版局書籍編集長/イノベーション東北事務局)

 1972年6月27日生まれ。慶応義塾大学環境情報学部卒、グロービス経営大学院経営研究科(MBA)卒。1996年より日経BP社記者として情報通信、流通、食品・医薬品等の企業取材を担当。ネット媒体や調査事業の開発、コンサルテーション業務等にも従事の後、2006年1月にグロービス入社。オンライン経営情報誌GLOBIS.JP編集長、グループ広報室長などを経て現職。RCF復興支援チームの広報アドバイザーも務める。共著書に『食品クライシス』ほか。Facebook(参照リンク)


あなたのメシの友は何ですか?

 齢40を越え、いまだ人見知りをするダメ人間の私は、初対面の多い飲み会でアガッてしまったとき用に、会話の糸口になる定番質問を幾つか懐に仕込んでいる。その一つがこれだ。

「あなたのメシの友は何ですか?」

 梅干し、塩昆布、生卵、のり、納豆といった定番から、明太子、ツナマヨネーズ、はたまたキャビアまで。お国柄も出ていろいろ盛り上がるし、食の好みもうっすらとうかがえるので、次に注文する料理の参考にもなる。

 で、最近の私のメシの友が、この「なまり節ラー油」なのである。

なまり節ラー油(宮城県気仙沼)

 2013年11月24日(≒いいぶしの日)に発売されたなまり節ラー油。実は2014年3月1日発売の『BRUTUS』お取り寄せ特集で審査員・松任谷正隆氏の「ごはんの友」マイベスト3にも選ばれている逸品で、観光庁が主催する「世界にも通用する究極のお土産」にもノミネートされている。

 気仙沼の代表的なドライフードであるカツオのなまり節※に、コチュジャン、ショウガ、花椒など複数のスパイスを合わせ、単調でない辛みを実現。旨みの凝縮されたなまり節の食感に、時折、粗く刻み込まれたクルミの歯ごたえが作り出すアクセントも心地いい。一般的な食べるラー油より具材が大ぶりで食べごたえがあるので、冷たいうどんに薬味とともにぶっかけたり、冷たいキュウリや蒸しナスに合わせて和え物にするのも、またオツなものだ。アンチョビのようにパンに載せるのもいい。

※なまり節(生利節)……なまぶし(生節)ともいう。生のカツオを解体し、頭や内臓を除去して蒸す・ゆでるなどした一次加工品。鮮魚よりは長い期間保存できるが、カツオ節ほどは長持ちしないので、流通する範囲は限られている。
人気料理ブロガーの「筋肉料理人」も、なまり節ラー油のアレンジレシピ開発に協力した
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