社員が考えた面白いアイデアをマネタイズするのが経営者世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる(1/3 ページ)

» 2014年03月12日 08時00分 公開
[丸幸弘,Business Media 誠]

集中連載「たった1人の「熱」から生まれる」について

本連載は、丸幸弘著、書籍『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

“PDCA”でイノベーションは起こせない。これからのビジネスは“QPMI”です。イノベーションを起こす魔法のしくみ「QPMIサイクル」とは、

 Q(question) たった1人の崇高な問題意識や疑問
 P(passion) それを解決したいという強い情熱
 M(mission/member)周囲を巻き込んでプロジェクト化する環境を作る
 I(innovation)結果として革新的なビジネスが生まれる

この4つです。

著者、丸幸弘は数々の革新的なビジネスをプロデュースし、自社内では「出前実験教室」など200以上のプロジェクトを同時進行させ、しかもそのすべてが黒字。そして、社員全員が理系の博士号or修士号を取得しているという異色の研究者集団企業「リバネス」の代表取締役CEO。

本書では、世界を驚かせるようなイノベーションを起こすためのしくみ“QPMI”を中心に、リバネス独自の取り組みと社内制度、そして具体的な事業内容を初公開。べンチャー起業家、新規事業立ち上げに携わる人、中小企業の経営者から未来を夢見る理系学生まで、広く読んでいただきたい1冊。


面白いアイデアをマネタイズできなければ、それは上司の責任

 イノベーションにつながるアイデアは、最初からお金のことを考えていたのでは生まれません。まず解決すべきクエスチョン(Q)があって、その次にマネタイズを考えるという順番は、決して逆であってはならない。

 だからリバネスでは、若い社員に「もうかるビジネスを考えろ」という要求はしません。求めるのは「ひたすら考えて、面白いアイデアを出せ」ということです。

 部下が考えた面白いアイデアを「とてもビジネスにならない」と言って上司がつぶしてしまうという光景は、会社に勤めていれば必ず1度は目にするはずです。でも、それは避けたほうがいい。社員が面白いアイデアを出せたなら、それでどうしたら利益が出る構造にできるかを、役員やマネージャーが必死に考えるべきです。面白いアイデアがあるのに、マネタイズすることができなければ、それは上司の責任です。

 部下は面白いアイデアを考え続け、上司はそのマネタイズをひたすら考え続ける。当然ながら、それぞれの役割が違うのです。

 会社全体で考え続ける癖がついてくると、ときどき新入社員が、まったくマネタイズできなさそうな、でもワクワクする企画書をもってくるようになります。

 普通の会社だと、そういう企画書を見て「市場規模はどれくらいを想定しているの?」というようにネガティブにとらえがちですが、そもそも、ワクワクするようなイノベーションの市場規模なんて、分かるわけがない。誰も思いつかなかったイノベーションを起こそうというアイデアなんですから、数字は未知数で当然です。

 そこでリバネスでは、アイデアを出してきた社員に対して、次の3つの質問を投げかけます。

 「それ、新しいの?」
 「それ、面白いの?」
 「それ、やり続けられるの?」

 この3つの質問に、ちゃんと理由を説明した上で「はい」と答えられるようであれば、上司が「じゃあ、とりあえずやってみようか」と言って、一緒に考える。「これ、どうやってビジネスにしていこうか?」と。

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