巷で言われる「通販サイト詐欺が昨年比6倍に急増」は本当か?窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2014年03月11日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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現実と乖離した誤解

 このようなことを踏まえると、「偽通販サイト詐欺」の正体も見えてくる。このような、「ダミーページ」を使った詐欺といって思い浮かぶのは「フィッシング詐欺」(偽サイトに誘導して暗証番号を盗み取る)だ。例えば、昨年ネットバンクなどで多く見られた手口は、本物のサイトの上にポップアップで偽のログイン画面が飛び出し、そこにIDとパスワードを打ち込んで盗まれてしまうというものがある。

 「偽通販サイト」というのも「ダミーページ」である。ここで購入手続きをすれば当然、個人情報も吸い上げられる。そこからさらに振り込みへと誘導されるわけだから、正しくは、「フィッシング+振り込み詐欺」とでも言うべき犯罪行為なのだ。

 国民生活センターが、ネット通販詐欺が昨年比6倍なんてリリースを出すと、それをそのまま右から左へ流すマスコミによって、必ずネット通販へネガティブな論調が生まれる。そのうち、ネット通販を規制せよ、なんて声がワーワー出てくる恐れもあって、まともな通販会社たちが迷惑をこうむる。

 相談件数をまとめるのもいい。ただ、「犯罪」と「トラブル」をいっしょくたにしてしまったら、現実と乖離(かいり)したような偏見が生まれる。

 いろんな意味で影響力のある国民生活センターさんには、ぜひそのあたりは気にかけていただきたい。

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