女性が職場で活躍できる制度を整えると女性は活躍しなくなる?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/2 ページ)

» 2014年03月10日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 先日、ある女性と話していて、とても興味深い話になりました。それは「職場内におけるフリーライド問題」です。例えば、女性が働きやすい制度を整えると、その制度を利用する人が増えて一定数を超えると、制度にタダ乗りしたり、悪用する人が出てしまったりする……という話。

 今日はその辺りの話をキッカケに、女性と仕事について少し考えてみましょう。

バリバリ働く=企業が求める「働く」の理想像?

 冒頭の話、実はそれほど珍しいネタではなく、人事周りの人たちと話をする機会があれば、頻繁にテーマになることの一つです。ある企業がそうだ、というわけではなく、割とフツーに起きていることといえそうです。例えば、働く女性のための支援制度を作ったとします。そうすると、当初の利用者は、活躍している女性、つまり、企業側が「想定している」利用者です。

 「例えば、バリバリと働いている女性、とくに既婚の営業担当者にとって、時間のやりくりは難しいのです。だから、時間的な融通がきく制度を作って、彼女たちの仕事と生活を支援したいと、企業としては考えます。しかし、そういう制度が必要ない女性従業員までもが、その制度があるというだけで利用したがる。そうすると、組織としていろいろと問題が起きてしまうのです」

 これは、ある企業の人事担当者の話。この台詞を聞いて怒ってしまう人も少なくないのではないでしょうか。こんな短い話の中に、日本の企業が抱える雇用の問題が山積みされているからです。

 まず「バリバリ働いている女性」のところ。バリバリ働いているという状態を、男性が働いているそれと仮置きして、それと同じように働けない既婚の女性には「ハンディがある」ということになっています。彼女を「サポートするという前提で、仕組みが作られています。つまり、企業が想定する働き方には、それくらいバリエーションがないのです。

 そこから外れてしまうと「足りない」と評価されたり、違うと区分されたりする。さらに、「そういう制度を活用しなくてもいい女性従業員」という評価がそれを物語っています。さらに場合によっては「どうして女性だけサポートするという考えを持つのか、という男性従業員の声も聞こえてきそうです。

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