女心の分からぬ私が、女性脳について書くことになった顛末女性脳と男性脳の論理(2/2 ページ)

» 2014年03月07日 11時00分 公開
[溜田信,GLOBIS.JP]
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 なんとも無茶苦茶な会話なので少しだけ補足すると、私が所属している思考ファカルティ・グループは「クリティカルシンキング」をはじめとする、比較的、分析的なアプローチで課題整理や解決策を見出すクラスを多く設計、提供している。しかも、私は世間一般的に“冷たい左脳集団”のイメージを持たれがちなコンサル会社の出身だ。

 そこに平素、個人として向き合っている人の脳への関心を織り交ぜることにより、「女性脳の不思議を男性脳の人に分かるように説明できたら、絶対、世のため人のためになりますよ。だって、ほら、女性の論理が分からないから上手く女性活用ができなくて悩んでいるオジサンとか、上司が女性になっちゃって困惑している男性社員とか、いっぱいいるはずじゃないですか!!」(K女史)というわけだ。

 あまりに強引な展開だが(しかもよくよく考えてみると結構、失敬なことを言われている気もするが)、日頃グロービスで「マーケティング」などの講座も担当している私にとっては、女性の存在が無視できないものになっていると感じる背景は、実はほかにもあった。

 基本的に、現在教えているマーケティングは、顧客のニーズや意思決定のプロセス、企業にとっての商品・サービスの位置付けといったものを論理的、分析的にとらえるものだが、それだけでは何か不足しているのではないかと感じ始めていた時期だったのだ。

 とりわけBtoC市場における女性の購買行動について、私自身、理解できていないという思う場面はあまりに多い。例えば、

 「なぜ、こんなに買い物に時間がかかるんだろう」
 「なぜ、靴を買いに行くと言いながら靴は買わずに、化粧品を買ってくるのだろう」

 とか……。

 これをダメ押しするように、過日、P&Gの女性マーケティングマネジャーによるセミナーを受ける機会があり、彼女が説明する(論理的な解釈とかいう余地をまるで挟まぬ)「マーケティングは愛だ」的な話が、さっぱり分からなかった。

 「これではいかん」。一般に、BtoC市場において購買決定権の8割は女性が握ると言われる。女性を理解せずして、マーケティングを語るわけにはいかない。このコラムを書くことをきっかけに、私自身が“女性理解”を深めてみようではないか(……ちょっと怖いケド)。

 そんな動機から、このコラムのテーマが決まった。つまり、ビジネススクールの対象として、女性を理解しよう。それも論理的に分解してみようという試みだ。

 と書きながら、執筆を始めてしまったこと自体、そもそも女性(編集者)の術中にハマってしまっているのでは? という気がしなくもなくなってきたが……。次回より本編、よろしくお願いします。

溜田信(ためだ・まこと)

東京大学工学部応用物理学科卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。銀行オンラインシステム担当のシステムズエンジニア&営業マネージャを経験。その後、外資系SIベンダー、マイクロソフトにおけるソリューションビジネスの経験を経て、戦略系コンサルティングファームA.T.カーニーに入社。メーカーの事業戦略・SIベンダーの営業戦略・組織改革、金融機関のIT戦略等、IT知識を持つ戦略コンサルティングプロジェクトに従事した経験を持つ。グロービスにおいては、マーケティングならびに思考系の講師を担当している。


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