チョバーニに牽引されて急成長するマーケットに、当然大手もだまってはいない。実は、ギリシャヨーグルトの製造は、複雑で手間とコストがかかる。通常のヨーグルトと比べ、生乳が3倍多く必要になる上に製造時間も長い。そんな手間のかかる作業に興味を示さなかった大手もついには無視できなくなり、本腰を入れてギリシャヨーグルト市場に乗り込むようになった。
今では、業界大手のダノンやヨープレイトも低カロリーや子供向けなどさまざまな商品で攻防を仕掛けている。さらに、海外勢の進出も相次いでおり、もはや群雄割拠の様相だ。南米コロンビアのAlpina(アルピナ)に続き、ドイツ大手企業のテオ・ミュラーとペプシコの合弁会社「ミュラー・クエーカー・デイリー」がヨーグルト業界のシリコンバレーに2.06億ドル(約209億円)かけて巨大工場を建設した。
チョバーニは、ギリシャヨーグルトのシェアで今でも1位を堅持しているが、ライバル企業の出現で危機感を抱いている。それでも、創業わずか5年で売り上げが10億ドル(約1 014億円)に達するなどシリコンバレーのIT企業並の成長率に変わりはない。その成長スピードは、GoogleやFacebookに匹敵する。
チョバーニの快進撃はしばらく揺るがないだろう。だが彼らがこれからもトップであり続けるためには、国内だけではなく、海外の消費者にも手を広げる必要がある。その辺は抜かりがないチョバーニは、2011年にオーストラリアのBead Foodsを買収しメルボルン近郊の工場を3000万ドル(約30億円)かけて改修させた。その先に、アジアの広大なマーケットを見据えているとも言われる。
もしかしたら近い将来、日本にもその食指を伸ばすかもしれない。食のトレンドに敏感な日本で、米国のようにギリシャヨーグルトのブームが到来するか、気になるところだ。
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
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