発売後すぐに、チョバーニの快進撃が始まる。彼らは自らの足で販路を開拓し、1人のトルコ人留学生が思いつきで始めたビジネスを、全米食品業界を揺るがすほどの企業に育て上げた。2年後には、無名のブランドだったチョバーニが、ギリシャヨーグルトの全米売上第1位になっていた。
こんなにも人気が出た秘密はどこにあったのか。
その理由は2つ。まずは、ギリシャヨーグルトがヘルシーな商品として認知されたからだ。普通のヨーグルトより値段が1.5〜2倍もするのに売れているのは、ギリシャヨーグルトがプロテインを多く含み、低脂肪だからだ。さらに、濃厚でまろやかな食感で満足感が得られるため、手軽で健康的な朝食やスナックとして爆発的な人気が出た。ちょうど米国で健康意識が高まっていたことも追い風になった。
そして、数多くあるギリシャヨーグルトのブランドの中でもチョバーニに人気が集中しているのは、商品パッケージが大きく影響している。縦長で小さい見慣れた従来品と違い、口が大きくカップのように横長なヨーロッパスタイルの容器で、ポップでスタイリッシュなデザインになっている。
いまでは、他社もこぞって似たような容器を採用しているが、チョバーニがその先駆者である。そして、パッケージの色へのこだわりもすごい。容器に直接印刷している従来のものよりも鮮明な色合いを出すため、わざわざシュリンク包装のラベルにした。
売り場でもかなり目立つようなデザインにしたのは、理由がある。ブランドを立ち上げるときに、広告を出す余裕がなかったからだ。隅に陳列されてもパッと人目を引くようにとパッケージに力を入れたのだ。
チョバーニがデビューした2007年、ヨーグルト市場全体に占めるギリシャヨーグルトの割合は2%ほどだった。そんなニッチな商品が、いまでは36%を占めるほどになった。
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