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» 2014年03月06日 07時00分 UPDATE

INSIGHT NOW!:タイの反政府デモ騒動、両者は何を争っているのか (1/3)

首都中心部を占拠していたタイの反政府デモに新しい動きが出た。封鎖は解除されたが、これは妥協を模索するというより、デモ隊側の内部事情によるものだ。赤シャツ派と黄シャツ派の対立は根が深い問題で、簡単に解けるものではない。

[日沖博道,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 反政府デモが続くタイでは、デモ隊が“バンコク封鎖”と称して首都中心部を2014年1月中旬から占拠し続けてきたが、ようやくこれを解除し(ただし、反政府デモ自体は今後も継続)、バンコク中心部のルンピニ公園内に拠点を移動した。

 日本人には信じがたい話だが、反政府グループ(黄シャツ派)が、日本でいえば大手町の交差点を不法占拠して、「政府はけしからん」と毎日大騒ぎしていたのだ。警察官や機動隊は遠巻きに見守るだけで、手を出さない。これは2010年に起きた赤シャツ派のデモを当時の民主党政権が弾圧して日本人カメラマンを含む死傷者が出た挙句、政権がひっくり返った経緯があるためだ。

 デモ隊の連中だけでなく、彼らを応援する家族や友人、知人、赤の他人、ステージに登場する有名人を見に来た野次馬――そうした人々をあてにした露店も多く出ていたようだ。長期化する占拠の間、非常事態宣言の発令、そして下院総選挙の実施があったが、全国の投票所のうち、約1割で投票が行えずに再選挙の実施が模索されている。反発するタクシン派(赤シャツ派)の人々がその集会を狙って爆発物を投げ込んだり、互いに発砲したりして、子供を含む死傷者も出ていた。

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 さすがに物騒なので、日本を含む諸外国は渡航者にその一帯には近づかないよう、警告を出している。周辺のビジネス街の人たちも交通が遮断されて、不便さにはうんざりしていたし、周辺の店舗も客足がめっきり減ってしまったようだ。私が以前に指摘したように、明らかにビジネス上の影響が無視できなくなっている。

 多分、有力な支持者の一部が「そろそろ収束させないとマズい」と、デモ隊指導者とその背後にいる野党・民主党を説得したのだろう。実際、バンコク・ポストなど政権批判派だったはずのメディアですら、デモ隊を主導するステープ元副首相の強硬姿勢に対し批判的な論調が目立っていた。それに加え、最近はデモへの参加者が減少してきており(彼らも仕事を放り出してデモに繰り出す限界が近づいたのだろう)、デモの主催者としても変化点を求めたようだ。

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