転職ビギナーが陥る“100点転職”とは?ヘッドハンターが明かす転職事情ウソ・ホント!?(1/2 ページ)

» 2014年02月28日 08時00分 公開
[プロフェッショナルバンク 高本尊通,Business Media 誠]
誠ブログ

 日本人というのは、先進国の中でも勤続年数が長い国民。下の図のとおり、米国人の1社当たりの平均勤続年数が4.6年に対して、日本人は11.9年。つまり、「いったん会社に入れば長く働く」というのが日本の国民性なのだ。だからこそ、人生で初めての転職をしようという「転職ビギナー」は、新境地への期待値が非常に高い。なかでも、転職先の求人数が割と多く選択の余地がある20〜30代のビギナーが陥りやすいのが、完璧を求め過ぎる“100点転職”である。

 会社の財務状況は良好で、年収は現職同等かそれ以上。裁量権は今より大きく、風通しの良い社風で、年間休日は120日くらい欲しい……などと、希望をあげるときりがないが、20代後半から30代のビギナーは、このように次の職場に対する期待が大きい。ただ、現実はそう甘くない。私がよく言うのは、転職先を選ぶのは不動産を選ぶのと似ていて、「都心で駅から近く、周辺環境抜群で新築か築浅。しかも家賃は他より安い」なんていう物件がなかなか見つからないのと同じということ。あれもこれもの好条件をすべて満たす転職先は極めて稀であるということだ。

転職にリスクはあるが、転職活動自体にリスクはない

 その点、転職を一度でも経験している人は現実を理解しているので、2回目以降の転職活動では、だいたい6〜7割の希望を満たせられればすんなり応募という流れになるが、ビギナーは6〜7割程度の合致度ではためらう傾向にある。つまり、客観的には好条件の案件があっても「検討してから回答します」とか「他の案件も探してみたいので……」といった反応で、なかなか前のめりにはならない。転職先で長い間働きたいと思えばこそであろうが、まず言っておきたいのは、「転職にリスクはあるが、転職活動自体にリスクはない」ということ。転職活動をしているということは、何らかの理由で現職以外を見てみようと思っているわけだから、他の会社に応募してみなければ始まらない。だから希望条件を6割程度満たしている案件であれば、積極的に応募したほうが良いのでは? と思う。それで受ける恩恵はいくつもあるのだから。

 例えば、

  • 自分の市場価値が分かる
  • 他の会社を知る機会になる
  • 内定をもらう社数が増える
  • 上記より現職との比較ができる

ということが、あげられる。

       1|2 次のページへ