海外留学生の数を2倍に!グローバル人材育成プロジェクト「留学JAPAN」とは?海外に行きたいすべての若者にチャンスを(2/3 ページ)

» 2014年02月25日 08時45分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

グローバル人材って、そもそも何?

 ところで今回の発表を見て、ちょっと疑問に思ったのが「グローバル人材の定義とは? どういう人をグローバル人材と呼ぶのだろう?」ということだった。

 船橋氏が代表を務めるウィル・シード(参照リンク)は、若手の有望な人材を海外に送り出し、日本人を世界で戦えるグローバル人材にという活動を行っている企業である。船橋氏は、あるいは留学JAPANでは、どのような人材を「グローバル人材」と考えているのだろうか。

 「企業に話を聞くと、ほとんどの企業が求めているのは実はグローバルではなく、中国とか、フィリピンとか、特定の地域や国で働ける人材であることが多いです。グローバル人材じゃなくて、「リージョナル人材」なんですね。でもそれは違うはず。

 よく"Think Globally"と言っているんですが、興味を外に持ち、視野や視点が世界規模なのだけれども、目の前の仕事がちゃんとできる人。私はそういう人が『グローバル人材』だと思っています。何か軸を持っていて、目が(日本の)外を向いている人。そして、社会に対してアクションを取っていける、自らイニシアチブをとって、具体的なアクションができる人……留学JAPANを通じて、そういう若者を増やしていきたいと考えているんです」(船橋氏)

若者に海外生活の経験をしてほしい、もう一つの理由

ビズリーチ代表取締役、南壮一郎氏

 実は船橋氏も南氏も、ともに帰国子女であり、海外での生活の経験が長い。それだけに、これからの日本人には若いうちにもっと海外経験をしてほしい、と強く訴える。

 船橋氏が日本人の若者が海外経験を増やす必要があると痛感したきっかけは、2009年のダボス会議に出席したことだったという。「別に、日本人全員が海外で働くべきだとは私も思っていないのです。でも、日本は情報鎖国された国です。それが良いときもありますが、悪いときもある。日本で暮らして日本だけを見ていると、(海外の)情報が入るのが遅い、そして浅い。海外で暮らし、外から日本を見るという経験をすることが今後ますます重要になっていく」(船橋氏)

 とはいえ、日本は安全で清潔で豊かで、非常に暮らしやすい国である。おそらく多くの学生は「わざわざ海外に行って苦労しなくても」と思っているのではないか。また、少子化が進み一人っ子も多い。大事に子どもを育てた親の立場でも、積極的に子どもを海外に出すというマインドではない人が多いだろう。学生から見たときに、海外留学を志すメリットは何なのだろうか。

 「最近話していると感じるのですが、日本の学生は自信がない。自己肯定感や自尊心がない若者が増えているのを心配しています。コーチングなどの手法で若い世代に自己肯定感や自尊心を持たせてあげようという試みもあるのですが、どうもこれはうまくいかない。一方、日本の良さとか、日本が海外からどう見られているかということを教えてあげる(=ティーチング)と、日本の若い人たちはみるみる元気になるのです。日本の中にいては、日本の良さは分からない。海外で暮らして、異文化体験やアウェイな体験をしたほうが(心が)満たされるし、成長するのです」(船橋氏)

 「日本の学生は、留学をして卒業が遅れると『就活で入り口から不利になる」と思っている。でも企業側は『1年くらいスタートが遅れても、異文化経験をしている人が欲しい』と切実に思っていることはご存じですよね。私も船橋さんも海外生活経験者なのですが、留学や海外生活をして、嫌だった、損をしたという人にはこれまで会ったことがありません。みんな『いい経験をした』と言います。だからこそ、海外に行きたいという日本の若者がいればそのチャンスをあげたい」(南氏)

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