大雪でも高級天ぷらを貪る総理――日本の未来は大丈夫なのか?グローバルエリートから見た世界(4/4 ページ)

» 2014年02月26日 08時00分 公開
[原田武夫,Business Media 誠]
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日本が抱えている本当の危機

 翻って日本はどうか。この国には「陰陽道」という伝統があった。陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた小説が映画化されているので、どこかでこの言葉を聞いたことがある人も多いだろう。

 「陰陽道」とは、現代の言葉で言うと「天文学」と「地学」である。すなわち「天の利」と「地の利」を見ることであり、そのトレーニングを受け、時の天皇に仕えたのが「陰陽師」と呼ばれる職業集団であった。いや、もっと言えばリーダーそのものである歴代の天皇自身が「陰陽道」の達人であったという記録すらある。すなわち日本において、「天の利」を理解できるリーダーが最大かつ絶対的な条件である、といった伝統があるのだ。

 ところが、これは明治維新によって明らかに断絶した。その後、「デモクラシー」が導入され、リーダーとは大衆による人気投票で決められるべきものとなってしまった。そしてそこではルックス(外見)や弁論術などが問われ、本来ならば伝統的にリーダーの絶対的な資質とされてきた「天の利」を理解できる能力は一切考慮されてこなかったのである。

 そしてその行く末が「大雪で危機になっているのにもかかわらず、これを“天の利”と察知することのできない総理大臣」なのだ。「愛国」「国防」などと弁論で熱く語ったとしても、それは本来、日本のリーダーシップにとって二の次のことだ。もっといえば、そうした国が抱えるリーダーを巡る状況は米国などグローバルな水準からいっても、およそリーダーシップの本旨から見て悲惨なものであると言わざるを得ない。

 地球の気候変動は、今後も続くかもしれない。そうした中で日本が問われることは何か。それは誰しもが「リーダーを選ぶ方法としては当たり前」と信じてきた民主主義のルールではなく、本当のリーダーが違うやり方で選ばれるかもしれない、ということだ。そしてそのことを海の向こうでは次のリーダーシップがいち早く気付き、言葉と行動に移していることが、大雪が見舞われる中で日本が抱えている危機の本質なのだ。

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