転職市場では、「素顔美人」がもてはやされる時代が近づいているサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2014年02月24日 08時15分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

できの良い職務経歴書が多くなって、企業は困っているという事実

 しかし、職務経歴書の内容に不備が無くなってくると、新しい問題が発生します。企業の側から見ると、面接にかかるコストが膨大になるのです。以前のような履歴書なら、100人の応募があっても5人しか呼んでいなかったのですから、面接に割く時間は少なくて済みました。ところが、呼ぶ人の数が50%近くなっている今だと、単純計算しても10倍近い時間がかかってしまいます。

 企業側も単純に手をこまねいているわけではなく、採用担当者は実際に配属が予定されている部署に人間に対して、履歴書や職務経歴書を回して「面接に呼ぶべき人物かどうか」を判定させます。しかし、それもまた、採用担当者以外の人の業務時間を奪う結果になり、コストパフォーマンスが悪い。人を雇うことは必要だけれど、それに予定外のコストがかかってしまう。

 面接に呼ぶ人を厳選して、それにかける時間を削減したとしても、問題はさらに待っています。それが「職務経歴書のお化粧問題」です。以前のように、そもそも問題外の書類ばかりだと、見分けるのは容易でした。しかし、最近の職務経歴書は、とても上手に書けています。そう「上手に」という部分がくせ者。言い方は悪いですが、お化粧がとても上手になっているのです。

 もちろん、嘘を書いているというわけではありません。例えば、あるプロジェクトに携わった、と書いてあると、企業はその規模の仕事はできるかもしれないと思い、自社の仕事を任せられる人物だと期待して、面接に呼ぶことになります。しかし、実際には(お手伝いとして)携わっていた、もしくは(名義上)プロジェクトに所属していただけというケースは、よくあるのです。

職務経歴書のお化粧を落とし、スッピンを見る方法はあるか

 当たり前ですが、応募者は自分を小さく見せる必要はありません。なので、書類には、嘘にならない「精一杯の化粧」を施して提出します。しかし、企業がそれを応募書類だけで見抜くことは、当然難しい。だから面接をするわけですが、それには時間がかかり、さらにそれに伴うコスト負担も痛い、というジレンマに陥ってしまいます。

 逆に、転職をしようと考えている応募者にも、大きな負担になっているのが、この問題の興味深いところです。まず、相手の期待が大きすぎて、面接でドンドン落とされてしまうというケースが増えていること。書類では良かったのに、会ったらダメだったというシーンも、先の書類選考通過率のアップとともに、単純に激増しているのです。

 さらに、応募者自体の増加も問題です。書類選考を通過する人が増えているわけですから、選考自体にも時間がかかります。よって、即転職したいとか、早く結果が欲しいという人も、なかなか連絡がもらえないということにもなっているのです。単純にライバルが増えたということではなく、物理的に時間がかかってしまうという話ですね。転職を視野に入れている読者の皆さんは、少し気にかけておいてもいいかもしれません。

 企業はある意味人海戦術でこの問題を乗り切っていますが(一方で、企業にはたくさんの人に会わなければ、良い人を採用できないと思い込んでいる問題もあるのですが、それはまた別の機会に)、いずれは応募者の“スッピン”を見るための方法を考えだすでしょう。その一つが「職務経歴書への記述の微細化」です。

(写真はイメージです)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.