就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
もうずいぶん前に、転職情報誌(当時はまだ、紙媒体が主流でした)の巻頭記事を書くために、企業の人事部に取材したときのことです。届いている履歴書の数のうち、実際に面接に呼ぶ割合はどのくらいか、と聞いたところ「100人が履歴書を送ってきたとして、会うのは5人くらい」という数字が、当時の業界内定説でした。今はどうなのか、ということから、今週の話は始まります。
十数年前に取材した時、履歴書を見て「面接に来てもらおう」と判断する(=書類選考通過)の比率は、どの企業もだいたい5パーセント程度でした。その数字が揃っていることに、私は驚いたものです。実際、通過しない履歴書を見せてもらいましたが、(今ならダメな取材ですね)ほとんどは「そもそも書類に不備がある」ものばかりでした。
例えば「写真が貼られていない」「履歴が書かれていない」「他所への応募で使った履歴書の使い回し(小さく鉛筆で合否が書かれていました)」など、どうしてこの人は、これで応募しても大丈夫と思ってしまったのか? と、見ていて不思議になるような履歴書です。ただ、これはひと昔以上前の話。最近はこういう応募者は少なくなってきました。
今は、そもそも履歴書を作って提出するだけでは転職が難しい時代です。実際にどんな仕事をしたのか、それを細かく記述する「職務経歴書」が、企業からより強く求められるようになってからは、書類の体をなしていないというレベルの応募者は激減したようです。特に転職エージェントなどを経由して応募してくる書類は、体裁も含めて不備が少ない。
専門家の力を借りなくても、ネットで少し検索すれば、職務経歴書のフォーマット、記述方法、さらには、採用担当者たちのチェックポイントから、書くべき内容のアドバイスまで、事細かに調べられます。だからというのも変ですが、最近の書類選考における通過率は、30〜50%近くまで上がっている、という話を耳にするようになりました。かつては5%だったことを思うと、驚きの改善率です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング