香港で摘発された「ネット企業」が、日本ではセーフな理由窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2014年02月18日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


インターラッシュが会員に配っていた資料(クリックして拡大)

 経営セミナーなんかでよく言われることだが、世の中には2つのビジネスモデルをかけ合わせたものがわりとよくヒットするんだとか。

 例えば、「ペットビジネス」と「旅行ビジネス」をかけ合わせて、「ペットと一緒に楽しめるツアー」とか、「愛犬と泊まれる宿」だとか。既存のビジネスにまったく異なるものをかけ合わせ、新たな「価値」を創造する、というわけだ。

 ただ、なんでもかけ合わせればいいというものではない。むしろ、なかには「それとそれをかけ合わせたらちょっと……」というものも多い。2013年、『フライデー』などが報じたネット関連企業「インターラッシュ」(本社・カリフォルニア州)なんかはそれにあたるかもしれない。

 「インターラッシュ」とはネットコンテンツ提供企業で、会員はコンテンツ利用料を払う。そこまでならばよくあるビジネスモデルだが、同社の特徴は「統括責任者」などの幹部メンバーらがこんなうたい文句で会費集めをしていたことにある。

 「会費を払い続ければ、株式上場した際に配当金を約束する」

 近いうちに「ヤフー」みたいになりますよ、というのだ。この手の話に「未公開株」が出てくるのはよくある話、と思うかもしれないが、「インターラッシュ」が斬新なのは、そこに別のビジネスモデルを組み合わせたことにある。以下は限定の会員に配布された資料にある文言だ。

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