「気付けば、まったく知らない会社で働いていた」悲劇はなぜ起きるのかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/3 ページ)

» 2014年02月17日 06時04分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 もしまだ卒業後の進路が決まっていない就活生がこのコラムを読んでいたら、「2月中旬の今はもう一踏ん張りするべき時期」とお伝えしたいと思います。このタイミングになって「あれ、人足りないし、募集しようかな」という企業は少なくないからです。あきらめるのはまだ早い、4月から働ける場所をギリギリまで探してください。

 といっても、今日の本題は「頑張って正社員の座を獲得してもなお、その後の生存競争は極めて厳しい」ということ。すでに働いている人のほうが「ああ、あるある」とピンとくると思うだろう話です。

気がついたらリストラに巻き込まれていた

 あるバックオフィス系の仕事に就いている女性と話をしていたときのこと。「最近不安に思っていることがある」と、彼女はコッソリこぼしていました。自社のシステムが大きく入れ替えられることになる、ついては、そのシステムを運用する方法を理解してもらうために、そのシステムを作っている会社に行ってくれないか、という打診があったというのです。

(写真と本文は関係ありません)

 もちろん、バックオフィスの仕組みやプロセスを上手に見直すことによって、企業は効率やコストなどの面で恩恵を受けるのは間違いありません。新しいシステムの運用を担当者が勉強するというのも納得いくところです。しかし、新しいシステムを作る会社に出向く、というところに、ちょっとしたキナ臭さがありました。そして、その予感は見事に的中。

 後日、再び会って話を聞いてみると、既存のシステムを導入するというのではなく、自社のプロセスや管理手法にあわせたシステムを作るために、部署全体がシステムを作る会社に移動して、通常の業務を進めながら、新しいシステムを開発するというのです。ここまで読んで「ふむふむ、なるほど」と思った人も少なくないでしょう。そう、これはリストラの手法の一つ。

 とはいえ、首切りや早期退職を意味する「日本的なリストラ」のことではなく、本来の意味でのリストラクチャリングです。アウトソーシングできる業務を切り出して、パートナーと一緒に別の会社を立ち上げ、そこに任せてしまう。規模の大きい企業なら、従来は単なるコストセンターだったバックオフィス部門を独立させる手法は、最近では一般的です。

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