冬の終わりが見える今ごろは、花粉が飛び始める時期でもある。花粉症の人にとっては冬が終わるのは楽しみでもあり、春が来るのは憂うつでもあり……というところではないだろうか。
今や日本人の国民病ともいえる花粉症。病院に行くほどではないが、市販の薬を飲んで症状を抑えている人も多いだろう。本記事では、花粉症の症状を軽く済ませられるような、市販薬の飲み方・選び方を考えていきたい。
下のグラフは、1日のうちで花粉症の症状がひどくなるタイミングと、一番ひどいタイミングを聞いたアンケート結果だ。前者を棒グラフで、後者を折れ線グラフで示している。
花粉症の症状がひどいタイミングとして4割以上の人が挙げているのが「起床時」。最もひどいタイミングに限っても22.4%と、特に決まっていないという人を除いて最も多い。
朝、花粉症の症状があることによる生活の影響としては、「機嫌が悪くなる/気分が優れない」が55.6%と半数以上、以下「寝覚めが悪い」「家事がおっくうになる」「ミスが増える」と続く。
朝、発作的な鼻炎症状が起こることを「モーニングアタック」というが、モーニングアタックはなぜ起きるのだろうか?
モーニングアタックが起きる理由としては、以下のように複数の原因が考えられている。
(1)や(2)は就寝時・起床時にマスクをすることで軽減できるが(参照リンク)、それでもやはり朝に症状が重くなるという人が多いのは、(3)の自律神経のバランスの乱れが主な原因と思われる。自律神経は、夜間は副交感神経優位だが、朝は交感神経優位の状態に切り替わること。これにより両者のバランスが一時的に乱れて症状が出やすくなるのではないか……と考えられているのだ。しかも花粉症の時期は鼻の粘膜が過敏になっているため、普段よりもモーニングアタックが起きやすい。
朝の症状悪化に悩んでいる人は、1日1回飲むタイプの薬を、就寝前のタイミングで服用するとよい。薬を飲んでから寝ることで、夜中ぐっすり眠れて、さらに朝の症状が軽減できるという。1日1回1錠飲めば大丈夫、という薬は増えているので、その中から選ぶと良いだろう。
花粉症の薬を飲むと、頭がボーッとしたり、眠くなったりするという悩みを持つ人も多いだろう。
花粉症の薬に多い抗ヒスタミン薬は、鼻の粘膜にあるH1受容体をブロックすることにより、アレルギー症状の原因物質であるヒスタミンと結合するのを防ぎ、くしゃみや鼻水といったアレルギー症状を緩和する効果がある。
しかし抗ヒスタミン薬の中には、鼻ではなく、脳の中にあるH1受容体までブロックしてしまい、脳の活動を低下させてしまうものがある。花粉症の薬で眠くなったり、頭がボーッとして集中できなくなったりミスが増えたりするのはこれが原因で、こういった症状を「鈍脳」と呼ぶ。抗ヒスタミン薬の中には、ウイスキーのシングル3杯分(約90ml)を飲んだのと同じくらい、脳の働きを低下させてしまうものもあるという。
鈍脳が起きにくいものをと開発されたのが第2世代抗ヒスタミン薬だ。第2世代抗ヒスタミン薬は脳に入りにくいため、鈍脳の状態が起こりにくいという長所があり、現在のアレルギー治療の主力になっている。「花粉症はつらいが、薬を飲むと眠くなる」という人はこういった点に着目して市販薬を選ぶのもいいだろう。
もう1つ大切なのは、花粉が飛び始めたかな? と感じたらすぐに薬を飲み始めること。スギ花粉に限らず、季節性のアレルギー性鼻炎は症状が出始めた初期の段階から服用を開始したほうが、症状を抑えることができるという。
一度なってしまうと治らないといわれる花粉症。花粉が飛び始めるこれからの季節、できるだけ快適に過ごしていきましょう。
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