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» 2014年01月31日 08時00分 UPDATE

消費税8%時代の確定申告:サラリーマン節税のツボ、各種所得控除について知ろう (1/6)

節税とは納税額を減らすことだ。つまり課税所得を減らせばいいということだが、そのために重要なのは各種所得控除を漏れなく積み上げることだ。

[奥川浩彦, 監修:木村税務会計事務所 税理士 木村聡子,Business Media 誠]

 前回は源泉徴収票の見方とサラリーマンの所得税、住民税の算出方法を説明した(参照記事)。税額の算出方法がなんとなく理解できたと仮定して、今回はサラリーマンの節税方法について説明したい。

 まずは基本となる所得税の計算式を再確認しよう。単純な式なので節税方法も分かりやすい。3行目の式の所得税を減らせば納税額が減る=節税となる。そのためには課税所得を減らす必要がある。課税所得を減らすには2行目の各種所得控除を増やせばよい。サラリーマンの節税の基本は各種所得控除を漏れがないように積み上げることだ。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
  • 給与所得−各種所得控除(増やす)=課税所得(減る)
  • 課税所得(減る)×税率=所得税(減る)
課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 9万7500円
330万円超 695万円以下 20% 42万7500円
695万円超 900万円以下 23% 63万6000円
900万円超 1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超 40% 279万6000円
所得税の税率

 積み上げた控除額によってどれくらい税金が減るのかは収入(課税所得)によって異なる。理由は右の表のように課税所得額によって税率が異なるからだ。

 まず年収400万円のサラリーマンで控除額による税額の差を確認してみよう。1年間の医療費が20万円掛かった場合、10万円を超えた分の10万円(=20万円−10万円)が医療費控除の対象となる。この10万円の医療費控除のありなしで所得税と住民税の納税額を算出、比較したい。その他の条件は独身(=基礎控除が38万円)、社会保険料の合計額は59万円、生命保険の加入はなしだ(※復興特別税は含まず計算している)。

 所得税、住民税それぞれの控除ありなし計4つの計算で、年収から所得を算出する式は共通だ。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得

 → 400万円−(400万円×20%+54万円)=266万円

 給与所得から課税所得を算出し、それぞれ得られた課税所得から納税額を出して比較していこう。

医療費控除を受けない場合(所得税)

  • 給与所得−各種所得控除(基礎控除+社会保険料控除)=課税所得

 → 266万円−(38万円+59万円)=169万円

  • 課税所得×税率=所得税

 → 169万円×5%=8万4500円

医療費控除を受けた場合(所得税)

  • 給与所得−各種所得控除(基礎控除+社会保険料控除+医療費控除)=課税所得

 → 266万円−(38万円+59万円+10万円)=159万円

  • 課税所得×税率=所得税

 →159万円×5%=7万9500円

 医療費控除が10万円増えたことで、課税所得が10万円減り、5%の税率を掛けた5000円が所得税の納税額の差となった。次に住民税も比較して見よう。

医療費控除を受けない場合(住民税)

  • 給与所得−各種所得控除(基礎控除+社会保険料控除)=課税所得

 → 266万円−(33万円+59万円)=174万円

  • (課税所得×税率)−調整控除+均等割=住民税

 → (174万円×10%)−2500円+4000円=17万5500円

医療費控除を受けた場合(住民税)

  • 給与所得−各種所得控除(基礎控除+社会保険料控除+医療費控除)=課税所得

 → 266万円−(33万円+59万円+10万円)=164万円

  • (課税所得×税率)−調整控除+均等割=住民税

 → (164万円×10%)−2500円+4000円=16万5500円

 住民税も医療費控除が10万円増えたことで、課税所得が10万円減り、10%の税率を掛けた1万円が納税額の差となった。所得税で5000円、住民税で1万円、合計1万5000円納税額が減る結果となった。同様な計算を年収600万円、800万円で行い比較したのが次の表だ。

収入 控除 所得税 住民税
400万円 医療費控除なし 8万4500円 17万5500円 26万円
医療費控除あり 7万9500円 16万5500円 24万5000円
差額/率 5000円/5% 1万円/10% 1万5000円/15%
600万円 医療費控除なし 20万2500円 30万6500円 50万9000円
医療費控除あり 19万2500円 29万6500円 48万9000円
差額/率 1万円/10% 1万円/10% 2万円/20%
800万円 医療費控除なし 46万2500円 45万1500円 91万4000円
医療費控除あり 44万2500円 44万1500円 88万4000円
差額/率 2万円/20% 1万円/10% 3万円/30%
収入別税額比較

 年収が600万円になると所得税の税率が10%となり所得税額の差は1万円。年収が800万円になると所得税の税率が20%となり所得税額の差は2万円となる。住民税の税率は10%で一律なので年収400万円の人は控除額が10万円増えるとその15%の1万5000円、年収600万円の人は20%の2万円、年収800万円の人は30%の3万円の節税となる。

 このように年収(課税所得)が増えると税率が上がるので、控除額を増やすことによる節税効果も大きくなる。稼いでいる人は税金の負担も多くなるので、控除を積み上げて節税したい。

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