大使館も共同運営される時代女神的リーダーシップ(4/4 ページ)

» 2014年01月23日 08時00分 公開
[ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ,Business Media 誠]
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国への帰属意識が必要

 ダマナキが「確保」という言葉を用いたのは、社会の安定には、食糧、エネルギー、鉱物資源の確保が欠かせないからである。従って、海洋の保全は、単なる環境保護や島で育った女性の感傷といった問題ではない。人類の生き残りがかかっており、世界中の人々の支援が必須なのである。この点で彼女は、参加促進、結束、透明性を重んじるEUの手法が、生き残りへの最善の選択肢だと確信している。

 「人間がより大きな安心を得るには、国への帰属意識が必要です。若い人々は特にそうでしょう。社会の外側ではなく内側で自分の将来を思い描けなくてはね。もちろん、アウトサイダーは必ずいます。ですが、アウトサイダーが増えすぎると、悲惨な状況になってしまいます」

 EUは、協力と説得によって問題解決を図るという女性的なやり方を実践している組織であるといえるだろう。その理念の下で欧州大陸全域、さらには海洋にまで及ぶ諸課題に対処できるだけの大きなコミュニティを持ち、より多くの人々の積極的な参加を促そうとしている。

(女神的リーダーシップ=終わり)

著者プロフィール:

John Gerzema(ジョン・ガーズマ)

消費者行動が経済成長、イノベーション、企業戦略に与える影響を分析する社会理論家。グローバル企業のコンサルタントとして、消費者の価値観やニーズの変化を膨大なデータ分析によって追跡調査している。前著『スペンド・シフト』は、ビジネス雑誌、ファストカンパニーの「ベストビジネス書2010」に選出され、北米で出版されたビジネス書を対象としたAxiomビジネスブックアワードで2012年の金賞を受賞。

コロンビア大学、MITスローンスクールなどで講師を務め、TEDでのスピーチは25万人に視聴されている。BAVコンサルティングのエグゼクティブ・チェアマン、世界50カ国、5万ブランドを対象とした世界最大の消費者調査、BrandAssetValuator(BAV)の責任者を務める。


Michael D'Antonio(マイケル・ダントニオ)

ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト。ビジネス、サイエンス、スポーツと多岐にわたるジャンルで15冊を超える本を執筆。チョコレート王を描いたHershey(未訳)はビジネスウィークの年間ベスト書の1冊に選ばれた。ノンフィクション映画、Crown Hightsの脚本で、人間の尊厳や自由を訴える優れた作品に贈られるヒューマニタス賞を受賞。


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