誘っておいて面接で落とす――ここがヘンだよ日本の人事サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2014年01月20日 08時25分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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ジョブ・ディスクリプションの重要性

 どうしてこういう問題が起きるのでしょうか? ピンと来た人の中には「日本にはジョブ・ディスクリプションの文化がないからね」という指摘をする人もいるのではないでしょうか。ジョブ・ディスクリプションは、職務記述書と訳され、簡単にいうと「職務内容を明記した文書」要は「やってほしいことリスト」といったところ。あなたには、こういうポストを用意していますので、こういう仕事をしてください、と明記したペーパーのことです。欧米の企業では当たり前のようにあるようです。日本でも用意している企業もあるようですが、十分に機能しているという話は少ない。

その人に何をしてほしいのか。求人に際し、ジョブ・ディスクリプションをまとめていますか?(写真はイメージです)

 本来、欠員ができたポストに対して補充するための求人なのですから、転職したいと応募してきた人へのアセスメントは、(1)ポストに求められる能力が備わっているのか(2)その組織で働くことができるのか(人柄、相性といったものといえるでしょう)を見極めること、この2点に尽きるはずです。個人の野望ともいえる「やりたいこと」を聞く必要は少ない。しかし、ポストに対する職務内容がハッキリしていなかったり、採用担当者が職務内容を理解していなかったり、という現状が、無駄ともいえる質問をさせてしまうのかもしれません。

 日本の採用事情は、よくいえば柔軟性が高い、悪くいえばあいまいです。ポストに対する職務内容がハッキリしていれば、求められる能力に対して、身につけるべきスキルも明瞭なので対応もできるのですが、現状ではそれも難しい。アセスメントもクリアになるはずなのですが、曖昧なことしか問えないし、答える側も手探りで準備をするしかない。足りない部分が分からないと補うこともできないのに、それが見えにくい構造になっているのです。

 だからこそ自分で考えて行動する人もいるのだ、という声も聞こえてきそうですが、それはある意味で「個人の頑張りに期待する」という話です。だとしたら、頑張るべきポイントを曖昧にせず、個人に何を要求しているのかを明確にした方が効率もよく、さらに個人の能力を発揮できるような世の中になる気がするのは、私だけでしょうか?……と、自分で話題を広げておきながら、ちょっと曖昧な締めで今週のコラムは終わるのでした。それでは、また来週!

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