映像配信サービスで救われた命女神的リーダーシップ(4/6 ページ)

» 2014年01月17日 08時00分 公開
[ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ,Business Media 誠]

自国の現状に責任を持ちたいと願う人々

 ヴィグは「僕らは責任をひしひしと感じています。情報をガラス張りにしよう、誠実であろう、という思いも強いです」と語る。バンブーザーの誕生によって、自国の現状に責任を持ちたいと願う人々にとって、情報をガラス張りにして誠実さを貫くための費用は下がってきている。ライブ映像のストリーミングが普及すれば、貧しい国々からさえも、イベントやアイデアの紹介が続々と届くだろうとヴィグは予想する。怒涛のような情報を品定めするのは、観る側の役割だ。アドラーは「僕らが中身にお墨付きを与えるようなことはしたくないからね。それはみんなが判断すべきことだ」と語った。考えや主張が自由に行き交うオープンな仕組みが、これに寄与するのは言うまでもない。ヴィグとアドラーは最近、中東の人々を対象に、バンブーザーを使って選挙を監視する方法の指導まで行うようになった。

 バンブーザーが、あらゆる人とものを結び付け、あらゆる種類の表現を可能にするような、無限に拡大していく仕組みであるなら、リサーチゲートはじょうごのような役割を果たす。つまり、科学者や研究チームが難局にぶつかったときに、それを突破してブレークスルーを成し遂げられるよう、大勢の協力者からの情報や意見を集めて紹介するサービスだ。発案者はハーバード大学でウイルス学を研究していたイヤド・マディシュ。彼も研究者の例に洩れず、プロジェクトに行き詰まった折に同僚たちに助けを求めると取りつく島もなかったという。「一流の研究者たる者は、全知全能と見られなくてはいけない」といさめられたのだ。

 幸いにも、マディシュは科学者として自信があったため、特定の手法や領域に自分よりも詳しい協力者を探すことに躊躇はなかった。とはいえ、実際に探すとなると暗中模索するほかなかった。出版物や論文を検索して自分の研究に関係する文献の発表者を見つけ出すのは、回りくどいうえに確実ではなかった。このとき彼は、見栄よりも成果を重んじる地球規模の科学者向けコミュニティの必要性を痛感した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.