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» 2014年01月07日 08時00分 UPDATE

グローバルエリートから見た世界:日本経済を救うには? 「歴史学習」と「シンクロニシティ」が必要 (1/4)

「アベノミクス」によって円安・株高になったが、肝心の成長戦略は尻すぼみ。従業員の給与は一部の大企業を中心にアップしたが、多くの人はそれほど上がっていない。そうした環境の中、私たちに必要なことは……。

[原田武夫,Business Media 誠]

著者プロフィール:

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原田武夫

 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役(CEO)

 東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省に外務公務員?種職員として入省。12年間奉職し、アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に自主退職。在任中は、6カ国協議や日朝協議等に多数出席した。「すべての日本人に“情報リテラシー”を!」という想いの下、情報リテラシー教育を多方面に展開。自ら調査・分析レポートを執筆するとともに、国内大手企業などに対するグローバル人財研修事業を全国で展開する。

 最新刊『ジャパン・ラッシュ――「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる』(東洋経済新報社)を2013年12月6日に上梓。2014年1月18日に東京で、同月26日には大阪で開催される「2014年 年頭記念講演会」で2014年の日本を見通す講演を行う予定。IISIA公式メールマガジン


 今、「アベノミクス」が上滑りしている。渋る日本銀行を説き伏せ、マーケットに大量の日本円をばらまく「異次元緩和」を実現し、確かに株高にはなった。だが肝心の成長戦略は尻すぼみであり、街角景気も地方を中心にお寒い限りである。安倍晋三総理大臣を筆頭に政治家たちは「労働者の給料を上げろ!」と騒いでいたものの、時期が過ぎればもはや何も言わなくなってしまった。そうした体たらくなので、財布の紐(ひも)はきつくなるばかりなのである。

 「一体どうすれば良いのか」―――日本人ならば誰しもがそう思う中、2013年の10月にワシントンDCを訪れた時、私はとある男性からヒントをもらった。今をときめくケネディ駐日大使の右腕として、密かに日米間を頻繁に行き来している人物だ。

 「今の日本人に必要なのは、シナリオ思考でしょう。先を見通す力が必要だ」

 この男性に代表されるグローバルエリートからすれば、今の日本人に決定的に欠けているのは、先を見通し、未来に至るまでのロードマップを自分なりに思い描く力だというのだ。この指摘を受けて、私は内心「これだ!」と思った。

 わが国の「個人」が持っている金融資産は2012年末の段階で約1547兆円にも上っている。海の向こうの米国では約4297兆円なので、一見すると「やはり米国は大国だ」と思ってしまう。

 だが株式などのリスク資産を除く流動性の高い「現金・預金」で見ると、日本では約854兆円である一方、米国では約627兆円なのだ。そして就業者1人当たりでいうと日本では約1362万円であるのに対し、米国では約440万円。実に日本は米国の3倍もの金満国といえる。

 このことをベースにとても興味深い議論をしているのが、ジェイ・エム・アール生活総合研究所の松田久一氏だ。松田氏は示唆に富んでいる最新著『ジェネレーショノミクス』(東洋経済新報社)の中でこう述べている。

 「将来の消費」である「現金・預金」の約2%、約17兆円が、もし消費支出に向かえば、財政乗数を2.0として乗数効果を加味すると、約34兆円のGDP押し上げ効果がある。もし、預貯金が消費として実現されれば、個人消費の増加によって日本経済は約7.2%の成長となり、1970年代のような高度成長が実現されることになる。

 仮に、日本の個人金融資産のうち株や債券などのリスクマネーが欧米並みの約40%に上昇すれば、世界のマネーの流れは大きく変わる。日本のリスクマネーは、約200兆円から約619兆円に膨れ上がり、新たに増えた約419兆円のマネーが国内外に流れれば、世界中の為替レートや株価などの金融市場に計りし得ない影響を与えることになる。少なくとも日本の株価は倍以上になると予測される。

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