インタビュー
» 2013年12月27日 08時08分 UPDATE

これからの働き方、新時代のリーダー:赤字部門の書籍編集部が生まれ変わった秘密とは?――プレジデント社 (3/4)

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

編集部をマーケ本部に組み入れ、編集と営業を一体化

ay_pre01.gif 2012年の春に組織を変更

桂木: 最初はまず、私が書籍担当の販売部長を兼務しました。就任直後の2010年はすぐにヒットが出て、数千万円の営業利益が出たのですが、まあ、まぐれだったんですね。翌年はあまりヒットが出なくて……。2012年に、思い切って大きく組織改編をしたのです。

吉岡: 具体的に、どう変えたんでしょう。

桂木: 編集部門の中から、書籍編集部だけ外に出て、マーケティング本部の下に入れたのです。販売部の中にあった書籍販売部と一緒になって、書籍編集部と書籍販売部をまとめて書籍部という形にしました(図)。

吉岡: 書籍販売部はどんな仕事をしているのですか? 出版社の販売部というと、書店営業で各地の本屋さんを回って……というイメージがありますが。

桂木: 書店営業もやりますよ。トーハン、日販、Amazonといった取次に納入したりとか。その他にも、新聞に宣伝を出したり、電子書籍を売ったり、ECもやってます。

吉岡: なるほど、そういう「売る仕掛け」を考えていた部署と、書籍編集部をくっつけたんですね。販売と編集が一緒になったことでどう変わったのでしょうか?

桂木: 本の発売に絡めて、イベントを組んだり、セミナーをやったりといったプロモーションはやりやすくなりましたね。それまでもやっていたんですけど、編集と営業が密接に組むことによってすごく進めやすくなりました。『WORK SHIFT』や、大前研一さんの『企業参謀ノート』といったヒットはここから生まれました。

吉岡: 編集と販売ってとかく対立しがちですけど、同じ部署になることで距離が縮まったんですね。

桂木: 今は編集と販売が背中合わせに座ってますからね。日常的にコミュニケーションをとっています。おかげで、編集者が販売の意見を積極的に取り入れるようになったのも大きな変化ですね。「カバーはこういう風にしたほうがキャッチーだよ」とか「最近は白い表紙の本が売れてるって聞いたよ」とか、販売が書店で仕入れてきた話を編集者が聞いて表紙デザインが決まることもあります。あと、本の帯って最初に作ったきり変えないことが多かったんですけど、売れ行きを見てだんだん変えていくというケースも増えました。

吉岡: ああ、そういえば最近の単行本って、「10万部突破!」「30万部突破!」などこまめに販売状況を入れて帯を付け替えてるのが増えてますね。

桂木: そうそう、それです。本って、著者が売る気がないとヒットしないんですよね。うちは、編集者も以前に比べて「売ろう!」という意識がすごく強くなりました。私は出張に行ったときは、その地方の書店に寄って、その場で注文をとったり、販促グッズを置いてきたりしますよ。

吉岡: 注文をとってきちゃうんですか。さすが、販売部長兼務の編集長ですね(笑)。

編集者も「売るマインド」で

ay_ktrg03.jpg Business Media 誠編集長 吉岡綾乃

桂木: 編集者にも、注文はとらないまでも「出張に行ったら書店に行って(自分が手がけた本の)POPやパネルを渡してきなさい」と言っています。作り手は、販売の現場を知らなくちゃだめなんです。書籍の編集者も同じ。自分で書店に行かないと……本の売れ方って、書店(の売り方)によってまったく違うんですよ。

吉岡: 書店員さんが熱心に売ってくれる本は、売れますよね。私も、手書きPOPとかで推されてる本はついつい買っちゃいます。

桂木: そうなんですよ。書店員はすごく忙しいですし、いろんなタイプの方がいます。売り場で捕まえて「この本はこういう本なんですよ」と立ち話で売りこまなくてはならないんです。だから、短時間で「これはこういう本なんだ」と分かってもらえることが大事になってくるんです。

吉岡: すぐ分かってもらえる本って、どういう本なんですか?

桂木: 著者が有名、時代のキーワードが入っている……今だと「ビッグデータ」とか「おもてなし」とかですかね。それから書店員さんが売り場を想像できる本。これ、とても大事です。

吉岡: 売り場が想像できる本とは?

桂木: 平積みした上に「なんとかフェア」とかやりますよね。「ビッグデータ特集」とか棚を作って、さらにその中でどう売ってもらうのか。その辺まで、書店員さんがパッと想像できる本なら、売ってもらえます。

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