インタビュー
» 2013年12月27日 08時08分 UPDATE

これからの働き方、新時代のリーダー:赤字部門の書籍編集部が生まれ変わった秘密とは?――プレジデント社 (1/4)

平均年齢53歳、雑誌を引退したベテランの“名誉職”だったプレジデント社の書籍部門。一時は廃部も検討されたという弱小編集部が、赤字部門の汚名を返上し、ヒットを連発するようになった秘密とは? 書籍部長の桂木栄一氏に聞いた。

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

リニューアル記念企画「これからの働き方、新時代のリーダー」

 「アクションリーダーの『知りたい!』に応えるオンラインビジネスメディア」を統一コンセプトとして、9月2日にリニューアルしたBusiness Media 誠 & 誠 Biz.ID。リニューアルを記念して、スペシャルインタビュー企画を掲載中です。

 本企画では、Business Media 誠編集部と誠 Biz.ID編集部がそれぞれテーマを決めてインタビューや対談を行います。Business Media 誠では「アクションリーダーに会いに行く」、そして誠 Biz.IDでは「時代の変化に合った働き方」をテーマに、さまざまな識者の方にお話を聞いていきます。

 →リニューアル記念企画「これからの働き方、新時代のリーダー」バックナンバー


 ある日Facebookに、こんな書き込みが上がっていた。

 「本日の日経朝刊のベストセラーランキングで弊社の本が2冊ランクインしました。私が書籍部長になって初めてのことです。(略)思えば2年前、編集長と販売部長を兼務し、常に「製造と販売の一体化」を目指してきました。その成果が少しずつ出てきたのかも知れません。(略)10年前は部署自体の存続も危ぶまれていましたが、雑誌の世界から移ってきたかいがあったというものです。ところで業界紙かビジネス誌の方、誰か取材していただけませんか(笑)」

 これを書いたのは、プレジデント社の書籍編集部長、桂木栄一氏。プレジデント社といえば、『プレジデント』や『dancyu』といった看板雑誌を抱える出版社だが、書籍部門は毎年多額の赤字を出している“お荷物部署”だったという。雑誌『プレジデント』の編集次長だった桂木さんは、書籍編集部への部長として異動した後、赤字部門だった書籍編集部を、年間数千万円の営業利益が出せる黒字部門に立て直した。

 出版不況と言われ、どこの出版社も「本が売れない」と嘆いている昨今、こういう例は珍しい。いいですよ、誠でよければ取材いたしましょう……というわけでさっそく桂木氏のもとに話を聞きに行ってみた。

ay_ktrg01.jpg プレジデント社書籍編集部部長兼書籍販売部長 桂木栄一氏(右)。Business Media 誠編集長 吉岡綾乃(左)

雑誌『プレジデント』編集部から書籍編集部へ

吉岡: 桂木さんは、書籍部長になる前は雑誌『プレジデント』の編集次長だったんですよね。雑誌ではどんな企画を担当されていたのですか。

桂木: 営業特集などが得意でしたね。セブン-イレブンとか、ユニクロとかをよく取材していました。

吉岡: 私、Webメディアに来る前は雑誌編集者だったんです。雑誌は分かりますが、書籍は作ったことがなくて。書籍と雑誌の編集は全然違うといいますが、桂木さんは書籍編集部に来る前にも、本を作った経験があったんですか?

桂木: ええ、雑誌編集部時代に、数冊作ってたんです。一番売れたのはハロルド・ジェニーンの『プロフェッショナルマネジャー』という本。さっきユニクロをよく取材していたと言いましたが、これは柳井正さんが「これが私の最高の教科書だ」といっていた経営論の本なんです。絶版だというので、改めて本を出すことにして、柳井さんに解説を書いていただきました。これは15万部売れましたね。

 それから、『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」』。こちらはプレジデントの特集に合わせて作った本で、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木さんの発言を解説したものです。10万部売れました。

吉岡: なるほど、その実績を買われて「書籍編集部を立て直してくれ」と言われたんですね、きっと。でも当時、プレジデント書籍編集部は、かなり多額の赤字を出していたと聞いています。雑誌『プレジデント』編集部から書籍編集部への異動と聞いたときは、事実上、左遷を言い渡されたような気持ちだったのではありませんか。

桂木: まあ、否定はしません(笑)。プレジデント社と聞いたら多分ほとんどの人が思い浮かべるのは『プレジデント』や『dancyu』ですよね。実際、会社の体質が雑誌中心だったのです。

 しかしご存じの通り、雑誌は非常に厳しい状況にあります。弊社がというのではなく出版社全般の傾向として、雑誌の部数は年々減っていき、広告収入も徐々に厳しくなってきている。そういう中で、会社のもう1つの柱として書籍編集部を立て直してほしいと言われたのです。

 当時の書籍編集部は、雑誌部から異動したベテラン編集者が年に4〜5冊作る程度という、名誉職みたいな部署でした。大きなヒットもなかった。そのために毎年かなりの赤字を出していて、一時は廃部が検討されたこともあったんです。

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