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» 2013年12月19日 08時00分 UPDATE

伊吹太歩の時事日想:マンデラ追悼式で浮き彫りになる現代の人種差別 (1/3)

アパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラ元大統領の追悼式典では、さまざまな話題が提供された。いくつかの報道では、いまなお残る人種差別の現実が見え隠れする。

[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。


マンデラ

 2013年12月5日に95歳で死去した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領。その5日後には、ヨハネスブルグ近郊のスタジアムで追悼式が開催された。マンデラ氏の偉業を称え、世界中から数多くの要人やセレブが出席したが、追悼式はいくつかの興味深い話題を提供してくれた。

 スピーチする首脳らの横に立ち、でたらめな手話をもっともらしく行っていた手話通訳者については、日本メディアでも格好のネタになった。とんでもない話だが、当の本人が「スタジアムに天使が降りてきた」などと言いだしてから、なんだか拍子抜けした感は否めなかった。

 それ以外でも、追悼式にからんでいろいろな話が報じられた。そしてその中には、アパルトヘイト(人種隔離政策)と戦ったマンデラ氏の偉業を讃える機会にも関わらず、皮肉なことに今も残る人種差別の現実が見え隠れするようなニュースもあった。

オバマの横の金髪美人は誰だ?

 追悼式で最も注目が集まったのは、バラク・オバマ米大統領だろう。マンデラ氏と同じくノーベル平和賞受賞者であり、同じ黒人としてどれほど感動的で歴史的なスピーチをするのかとメディアは期待した。しかも演説の上手さで大統領になったと言われるほどのオバマである。

 しかしながら、話題なったのは追悼式でのスピーチではなかった。欧米を中心に騒がれることになったのは「自分撮り(Selfy)」。追悼式の間にスマホで自分たちの姿を撮影している姿を通信社のカメラマンに撮られたのだ。

 まず話題になったのは、世界的指導者であるオバマと英国のデービッド・キャメロン首相の間に座り、自身もスマホを両手にもって3ショットを撮影し、「両手に花」の状態でにこやかに語らう金髪の女性。「美人首相」と言われるデンマークのヘレ・トーニング=シュミット首相(46)だ。

 2011年にデンマーク初の女性首相に就任したトーニング=シュミットは、その政治的手腕とは裏腹に見た目の派手さが批判されることもある。ブランド品が好きでよく身に着けていることから「グッチ・ヘレ」とも呼ばれる。ある意味では、誤解されやすい女性であるとも言えるだろう。

 ちなみに日本のメディアでは「おごそかな追悼式の間に自分撮りとは不謹慎だと欧米で批判されている」と報じられていたが、会場ではダンスや歌などが繰り広げられており、実際には「おごそかさ」とは関係なかった。

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