就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
「12月23日は祝日なので、コラムお休みにしませんか? 今年の更新は次で最後ということになりますが」と、朝ドラ『ごちそうさん』に影響を受けて都内某所で“焼き氷”を食べていた編集長の吉岡綾乃さんから連絡をもらいました。
「うわ、そんなこと急に言われてもな〜。ということは、先週少しだけ予告した、行き過ぎたマイクロマネジメントが企業の採用活動にもたらす弊害は横において、今年を振り返って、来年を予測するコラムにしたほうがいいかな?」と思ったりもしましたが、まあ、来年の話をすると鬼が笑うといいますから、来年の話は来年するとして。
今回は予定通り、行き過ぎたマイクロマネジメントは採用の現場にとって大きな弊害をもたらしているという話を、マイクロにしたいと思います。
最近、企業の採用担当者たち、それもある程度の規模(いわゆる大企業というわけではありません)部長クラスと話をしていて、とても興味深いことに気付きました。それは、彼らの決定権限がとても小さくなっているということです。人事部長といえば、曲がりなりにもそれなりの権限を持っていて、人を採用するという意思決定などには、それなりの力を持っていたはず。しかし最近はそうでもないというのです。
「この人がいいな、と思って、役員面接に上げても、なかなか決まらない。現場レベルでは、この人が来てくれたら助かるのにという人を優先的に上げてみたのですが、ダメなのです」
ある企業の採用担当部長のボヤキです。いろいろなアセスメントをした結果、この人がいいだろうと思って役員による最終面接に進ませるのですが、まったく決まらないと。そこで、一計を案じたその部長は、以下の2つのパターンを組み合わせて、応募してきた人を最終面接に進ませてみたそうです。
結果は、すべて後者が採用となったそうです。この話って意外と根深い。例えば「採用は経営の根幹のようなものだろう、部長といえども一担当者が決定できるほど軽いものではない。また、部長と役員では見えている視野が違うのだから、人物評定に差が出ても不思議ではない」という意見もあると思います。一方で「企業の部長レベルでも、その程度のことを決められない仕組みは、ある意味行き過ぎたマイクロマネジメントじゃないのか」ともいえる。また「採用を決定する人物が役員だとして、常にその人物の好みで採用し続けると、組織はアンバランスになるのではないのか」という視点。さらに「選考プロセスの間にさまざまな人がかかわっているはずだが、その労力がほぼ報われない構造はそもそも非効率ではないのか」という考えもあるでしょう。
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