就活生・転職者必読! 経産省女性室長に聞く、「ホワイト企業」の入り方これからの働き方、新時代のリーダー(2/4 ページ)

» 2013年12月13日 07時55分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

「中小企業=ブラック」ではない

吉岡: なるほど……その学生さんの本音というか、心から出た言葉だったんでしょうね、ホワイト企業、というのは。

坂本: 今の学生さんたちは、ブラック企業に入ることを本当に恐れているんですね。そして「中小企業は危ない」と丸ごと敬遠してしまう傾向が強いです。でも、中小企業は人材獲得が切実ですから、必然的に今いる人材を大事にしようとして、結果として女性が働きやすい、労働環境が整った“いい企業”が、実は選べばたくさんあるんです。それを学生さんたちに知ってほしいなという気持ちがあります。

吉岡: 多様な人材活用の第一歩として、女性が働きやすい企業がホワイト企業だ、という見方はできますよね。女性が働きやすい企業というと、育休や時短勤務といった制度が整っている企業を想像しますが。

坂本: 女性から見て、就職先として企業を評価する際の評価軸は、実は2つあります。1つは「働き続けやすさ」の軸。そしてもう1つは「活躍のしやすさ」という軸です。

 働き続けやすい企業というのは、育休や時短勤務、フレックス制といった仕事と育児の両立を支援するための制度があり、実際にそれが使われている企業のことです。こういった取り組みの成果が端的に表れるのが、平均勤務年数の男女差だと言われています。男性の平均勤続年数に対して女性の平均勤続年数が非常に短く、差が大きい企業は、両立を支援する環境が足りないために、出産などを機に女性が辞めてしまうことの多い企業ということになります。

 そしてもう1つ、忘れがちですが重要なのが「活躍のしやすさ」という軸です。これは女性管理職比率に現れます。現在の値も大事ですが、最近の伸び率に注目することも大事です。

 この2つの評価軸で、1つの業種の企業をプロットしたのがこのグラフです(図)。グラフの左右が働きやすさ、上下が活躍しやすさの軸になります。右にいくほど女性が働きやすく、上にいくほど活躍しやすい企業だと考えられます。この両方の軸を満たす、右上に位置する企業、つまり女性が働き続けやすく、活躍もしやすい企業が「ホワイト企業」だと私たちは考えています。

企業における女性活躍の進み具合。右にいくほど女性が働きやすく、上にいくほど活躍しやすい企業といえる(出典:『ホワイト企業』)

吉岡: 確かに、女性が出産後も働きやすい仕組みが整っていても、補助的な仕事に回されてしまい、あまり活躍できていない……という企業もありそうですね。

坂本: そうなんです。育休や時短が長くとれる「優しさ」よりも、ワーキングマザーが時間や場所を選んで働けるといった「柔軟性」に力を入れている企業のほうが、女性が活躍しているという傾向も見られます。

Business Media 誠編集長、吉岡綾乃

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