珍言連発の原辰徳監督は「名将」か、それとも「迷将」か?臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/3 ページ)

» 2013年12月12日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

原辰徳は失言や言い間違いが多過ぎる

 一体なぜ、原監督はこういう目で見られるのか。前出の巨人OBの1人は「原はとにかく失言が多過ぎるんだよ。それが彼のイメージをオチャラケにし、せっかく成し遂げた偉業を消し去ってしまっているんだ。格好付けて背伸びせず、もっとスマートになればいいのに……」と、その理由を打ち明けた。

 本人との関係性を大事にしたいと思うあまりに多くのメディアは報じないが、確かに原監督には滑稽(こっけい)な言動が多い。例えば、試合後の会見。なかなか結果の出なかった選手が、ようやく活躍してヒーローになったときに原監督は「アイツは、もよおしてきた」という言葉を好んで使う。

 「もよおす」の意味としては「物事が起ころうとする兆候を見せる」だから言わんとしていることは理解できるが、表現方法として正しいとはお世辞にも言えない。周りを囲んでいる記者の多くが、毎回のように笑いを必死にこらえながら「えっ、○○でもガマンしているの?」と思わず突っ込みたくなる気持ちもよく分かる。

 2013年11月2日の日本シリーズ第5戦。楽天に敗れて日本一へ王手をかけられると直後の会見で、こう言い放ったことがあった。

 「何と言いましょうか……。今まさにわれわれは徳俵から足を踏み出した状態ですね」

 実はこの言葉も指揮官の最近のお気に入りなのだが、正しくは「徳俵に足がかかる」※であって、ぎりぎりのところで踏ん張っているという意味だ。「足を踏み出した」となれば、それは「負け」である。誰もが「監督、土俵の外に出ちゃったらダメなんです」と思っているものの、いつも大マジメにコメントする原監督の迫力を前に「それ、間違っています」とは言えないようだ。スポーツ新聞の記者も自主的に「校正(用字用語の誤りを修正すること)」してしまう。

※:徳俵とは、土俵の4カ所(東西南北)で1俵ずつ外側にずらして設置してある俵のこと。

原辰徳のオモシロ発言は現役時代から

 「もともと原は巨人に入ったときから天然キャラだった。『週刊文春』の記者から名刺を渡されて真顔で『しゅうかんぶんはるって何?』と聞いたのは、当時をよく知る関係者の間で有名な話。あと巨人が宮崎キャンプで使うチーム宿舎の前に『千力』という老舗のうなぎ屋があるが、その店の名前を原はずっと『チカ』だと信じ込んでいた。『チカはウマいよな』と言われた記者たちは『どこのスナック?』とお互いに顔を見合わせていたよ。世間では『若大将』というイメージばかりが先行してしまっているようだけど、こういう一面も実は持ち合わせている」(前出のOB)

 日本テレビの解説者時代にも2005年の野球中継中、阪神で確立されていたリリーフ投手ユニットの「JFK」(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の頭文字が由来)を銀行名と混同して「UFJ」と口にしてしまい、当時タイガースを率いていた岡田彰布監督から「俺は大学時代から彼を知っているけれど、やっぱり、おもろい男やなあ」と言われてしまったことがある。

 「それだけではないですよ。ある試合の生中継で新人選手がホームランを打ったら、解説者だった原さんが珍しく興奮気味に『いやあ、素晴らしい! こういう記念すべき初ホームランというものは、打った相手、イニング、球種、場所……。とにかくもう、ありとあらゆることをすべて覚えているものなんですよ!』と絶叫したんです。それで横にいたウチのアナウンサーがすかさず『ちなみに原さんの初ホームランは?』と聞いたら、原さんはしまったという表情を浮かべながら『え、え〜と、分かりません……』。その後、放送席はしばらく沈黙に包まれてしまいました」(日本テレビ関係者)

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